
「あの場所に帰ってくる」――。ヴィジュアル系ロックバンドAngeloが再び動き出す、待ちに待った再始動がアナウンスされました。2006年に伝説的バンドPIERROTの元メンバーを中心に結成され、唯一無二の世界観で多くのファンを魅了してきたAngelo。
2022年の活動終了から約3年半の沈黙を破って、再始動の報せにファンの期待は高まるばかりです。2025年10月4、5日に東京・国立代々木競技場第二体育館にてライブイベント「START OF THE WORLD LINE」を開催することを発表し、新たなアーティスト写真がネット記事で公開されました。
SNS上では、90年代シーンを盛り上げていたヴィジュアル系バンドが次々と復活を遂げる中、「今って本当に令和なのか?」「PIERROTに続きAngeloまで復活とは…」と、驚きの声が上がっています。
今回、そんな再始動のタイミングで、初めてAngeloにふれる人も、もう一度その音楽を体感したい人も、まず手に取るべき1枚としてアルバム『evolve』を取り上げました。
『evolve』は2020年に発表された通算13作目のフルアルバムで、バンドの音楽的進化と哲学的メッセージが詰まった集大成的な作品。攻撃的なラウドサウンドと、内省的かつ鋭い歌詞が絶妙に融合し、まさに「進化=evolve」を体現しています。この記事では、そんな『evolve』の魅力を徹底解説しながら、再始動するAngeloの現在地と未来を読み解きます。今こそ、この一枚からAngeloの音楽を再体験してみませんか?
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
Angeloとは:バンドの歴史とメンバー紹介
Angeloは、2006年に結成された日本のロックバンドで、かつてヴィジュアル系シーンを席巻した伝説的バンド「PIERROT」の元メンバーであるキリト(Vo)、KOHTA(Ba)、TAKEO(Dr)を中心に結成されました。
PIERROT解散からわずか3ヶ月というスピードで新たな活動をスタートさせた彼らは、「破壊と再生」をテーマに掲げ、より深化した音楽性とメッセージ性で新たなファン層を獲得していきます。 Angeloとは、イタリア語で「天使」を意味するとされており、1stアルバム『REBIRTH OF NEWBORN BABY』には天使が降臨する姿がジャケットに描かれており象徴的な作品となっています。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
進化し続けるバンド
Angeloは結成当初から「進化し続けるバンド」であることを信条とし、 “最新が最高”であることを証明してきた彼ら。発表される作品や活動のたびにサウンドや表現手法を大胆に更新してきました。2011年には元D’espairsRayのKaryu(Gt)が加入し、バンドにさらなる厚みとエッジの効いたギターサウンドが加わります。2014年にはギル(Gt)が加わり、5人編成としての完成形を迎えました。
個人的には、2011年に加入した、Karyu(Gt)以降のAngeloは音楽性に幅が出たこととを強く感じました。その原因にはコンポーザーとしてKaryu(Gt)の役割が大きいと思います。特に、ギル(Gt)加入後に発表した作品、8thアルバム『CORD』は、1曲目の「Umbilical cord」から激しさとメロディーラインの美しさが同居した名曲から始ます。今作品では、Karyu(Gt)作曲者としての成長が目立つようになりました。
以前、放送されていた、WOWOW「ヴィジュアル系主義」スペシャルでAngeloが出演した際に、キリトのインタヴューで「Karyu(Gt)が加入したことで、ようやく戦える武器が揃った」と、語っていたことが印象的でした。
次に、「進化し続けるバンド」Angeloの音楽性について解説していきます。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
Angeloの音楽性について
メンバーそれぞれが個性と高い演奏技術を持ち、特にボーカルのキリトは、前身のバンドPIERROTでも作詞を手掛けていますが、独自の哲学や社会観を鋭く反映させた歌詞で多くのリスナーの心をつかんできました。特に聖書をモチーフにした内容や世の中のタブーと言われていることに対しても婉曲的に表現されており、キリトにしか書けない独特のセンスがあります。
また、歌詞のテーマには「人間の進化」「自己との対峙」「真実の追求」など、キリトらしい哲学的な問いが随所に込められており、聴き込むほどに新たな解釈や気づきが得られる構造となっています。
個人的に、印象的な歌詞として、5曲目「Amon」の歌詞が挙げられます。「交わした契約通り すべて見せてあげよう 過去と未来の仕組みを 善と悪の役割を 正気が保てないなら 正義を手放せばいい 濁流に身を投げ出し 欲望の赴くまま」という歌詞には、善悪を超越した、絶対的な存在から愚かな人類に対する啓示とも取れる内容で、聴く者に強い感情の揺さぶりを与えます。
バンドの音楽性として、ダークでゴシック的な部分を残しつつ、インダストリアルで畳みかける攻撃的な音楽。激しいタテノリで暴力性を秘めたラウドロック。さらにはエレクトロニカなど多様なジャンルを取り入れつつも、常に「Angeloらしさ」を失わないスタイルを貫いています。一方でメロディーラインが美しく、一度聴いたら忘れられない楽曲も多くあります。個人的には、10thアルバム『RESONANCE』が顕著に顕れていました。
なぜなら、コロナ禍の中で活動を止めずにアコースティックライブを行った際も、『RESONANCE』収録曲から、アコースティックアレンジされた楽曲「CRUELWORLD」は、原曲とは違った魅力を伝えてくれていました。他の楽曲もメロディーラインが光る楽曲が多いことが『RESONANCE』の特徴です。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
これまでの活動と2022年に活動休止について
Angeloの活動は、単なる音楽表現にとどまらず、ライブパフォーマンスや映像作品においても圧倒的な世界観を展開。メッセージ性の強い作品群は、混沌とした現代社会の中で「生きる意味」や「個としての存在価値」を問いかけ続けています。
また、Angeloの活動の特徴として、作品をリリースするペースが異常に速いことが挙げられます。活動中は、ほぼ毎年1枚のアルバム作品をリリースするペースを維持していました。2007年に1st『REBIRTH OF NEWBORN BABY』をリリースしてから、リリースがない年は、2008年と2015年のみで、ほぼ毎年のペースで発表するスタイルは他のバンドには例をみないと思います(しかも、2015年にはミニアルバム2枚をリリース!)。あくまで、仮定の話ですが、「ハイペースのリリース」そのことが、結果として活動休止の遠因になったのでは?と思われます。
WOWOW「ヴィジュアル系主義」スペシャルで、「異様に作品のリリースが速い」と、Karyu(Gt)がインタヴューで語っていました。その時の困惑された表情も印象的でした。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟

それでも、2020年のコロナ禍の中、活動を止めることなく、「NEOPHASE」と表題を掲げ、政府自治体のガイドラインに沿ってライブ開催に踏み切りました。また、緊急事態宣言中もライブ映像配信などバンドとして前に進むことを止めませんでした。そんな彼らも、無期限活動休⽌前最後となる13thアルバム『CIRCLE』をリリースを以て、活動休止を決断します。
「永遠に続くものはない。形があるものはいつか終わるんです。大事なことは、常に目を逸らさず、いつか来る終わりと、向き合ってきたこと」
引用記事:【インタビュー】Angelo、キリトが語る活動休止の真意と『CIRCLE』「今ある形にこだわらずに前へ進んで行かないといけない」 | BARKS
メンバーそれぞれの活動に対する考えが微妙にズレが出てきたことからによる休止の決断と語っていました。今回の再始動にはメンバー間の総意とファンの根強い支持と熱量が背景にあると思われます。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
またいつか、きっといつか帰ってくるからな!
その活動休止前ラストライブにおいて、キリトが告げた「またいつか、きっといつか帰ってくるからな!」という言葉が、このたび遂に現実のものとなりました。しかも再始動の日が、Angelo(天使)の日である、10月4日、5日と嬉しいニュース!
「現在(いま)を必死に生きたその先に、もしAngeloが再びみんなの前に現れるとしたら、それは過去のAngeloが帰ってくるわけではなく、得体の知れないバンドが新しくできるということなんです」──活動休止前ラストライブでキリトはこう語っていた。円(=CIRCLE)の終着点は終わりではなく次の螺旋の始まり。ここに至るまでのあいだ、5人はそれぞれの道を全力で生きてきた。そして今再び、世界線が交わろうとしている。
引用記事:Angelo再始動、“天使の日”に国立代々木競技場第二体育館公演を開催 | BARKS
その第一歩として改めて注目されているのが、バンドの進化と集大成を象徴するアルバム『evolve』です。今こそ、Angeloというバンドの軌跡と本質を知ることで、彼らの再始動の意味がより深く理解できると思います。『evolve』、収録曲「: evolve 」を2025年番としてアップデートされた「: evolve 」2025’versionを発表し、高らかに復活の狼煙を挙げました。
それでは『evolve』の概要について解説していきます。
【Music Video「:evolve 」2025’versionのPVを観るなら:MV「:evolve 」’2025version】
アルバム『evolve』の概要
『evolve』は、Angeloが2020年11月11日にリリースした通算12作目のオリジナルフルアルバムです。前作『FAUST』から約1年ぶりのリリースであり、バンドとしての音楽的成熟と進化を強く打ち出した意欲作となっています。
作品タイトルの『「evolve(進化)」』が示すとおり、作品全体を通して“変化と成長”を強く意識したテーマが貫かれており、混沌とした時代の中で自らの存在意義を問い直すような深いメッセージが込められています。キリト作曲が6曲、Karyu作曲が4曲収録されています。また、キリトさんはアルバムの曲作り期間に入る直前に父親を亡くしたことも告白されています。それでもファンに光を与えようと制作に全神経を注ぎ、レコーディングが全て終わったときに、初めて自分の「感情」と向き合ったと話されていました。
『evolve』の楽曲構成について
サウンド面では、ラウドロックやインダストリアル・メタルの要素をベースにしつつ、空間的な広がりや緻密なアレンジが光る構成が多く見られます。Karyuとギルのツインギターによる攻撃的かつ緻密な演奏は健在であり、KOHTAのうねるようなベースライン、TAKEOの正確無比なドラムプレイが全体を引き締めています。これまでのAngeloの音楽性を受け継ぎながらも、どこか未来的で洗練されたサウンドに昇華されている点が、『evolve』の大きな魅力です。
『evolve』の楽曲構成として、個人的にはKaryuさん作曲のほうが、キリトさんのボーカルを活かした楽曲と聴きやすいメロディーラインと言った構成になっている印象があります。もちろん、キリトさんの楽曲もバンドの軸として確固たる存在感を示しており、リーダーとしての存在感を放っています。
特に、「evolve(進化)」の核ともいえる「: evolve」が、Karyu作曲でもあり、ラウドなギターリフにダンサブルな要素を取り入れた楽曲になっており、実験的な作品になったと思います。という訳で、次に、バンドとしての総力を挙げた作品『evolve』の収録曲の中からおすすめの楽曲を紹介していきます。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
『evolve』を彩る楽曲たち
本作には全10曲が収録されており、冒頭を飾る「Enter the NEOPHASE」から一気にAngeloの世界観へと引き込まれます。この曲は、バンドの新たなフェーズ=進化の入り口を象徴するような緊迫感とエネルギーに満ちており、アルバム全体のコンセプトを端的に表現しています。
先ほども解説しましたが、キリトの歌詞の表現スタイルとして「聖書をモチーフにした世界観」と、絶望の淵で救済を求める主人公の祈りが表現されています。「疲れ果て明日へ繋ぐ希望の糸 見失ったまま季節は流れ」と悲観に暮れる姿がそこにはありました。それでも希望を棄てずに前を向く姿が歌詞から読み取れます。「声がまだ聞こえる 悲痛に呼びかけている この場所でこのまま立ち止まれはしないと」まさに再始動に際してバンドのスタンスを表現しているようです。
続く「Swallow」では、疾走感とリズムの重たさを兼ねてラウドロックを展開します。哀しみと希望が交差するようなメロディが展開され、「強制的な終わりに囚われ 思考を止めた」という歌詞に象徴されるように、内省的な歌詞とともにリスナーの心に深く残る楽曲となっています。
たたみかけるようなリズムとロックなメロディーに乗せ、「衝動を振り翳して 痛みを取り込んで 研ぎ澄ました感覚は 全てを従える 暗闇を切り裂いて 視界を取り返して 行き惑う群衆で 方向を示していく」というサビの歌詞に、バンドとしての活動と方向性を深く示唆する内容が胸に刺さります。
核となる「: evolve」
そして、アルバムの核とも言えるのが、タイトル曲「:evolve」です。楽曲名にコロンを含めた表記が示すように、この曲は単なる“進化”を超えた、再構築された存在としての自己を描いています。メタルやインダストリアル的な重厚なサウンドと、キリトの鋭いボーカルが一体となり、リスナーに強烈なインパクトを与えます。
歌詞に関しては、未曽有のウイルスに人類が遭遇し、そしてそこから乗り越えることで新たなステージへ進化するという内容をキリトの世界観で表現されています。「残酷な序章を迎えて 目を背けそうな夜明けに 寄り添いながらそばにいて 静かに瞳(め)を閉じるもの 覚醒して立ち上がる者 交わす思いを胸に抱いて 必然に芽生えるファクト 意思を持ち行き着くリザルト 揺らぐなみに導かれて」という歌詞は、現在(2025年)の視点から見ても、考えさせられる歌詞です。そして、言葉遊びとして、過去の作品名が歌詞に書かれていることもポイントです。詳しくはふれませんが、歌詞を見ながら過去の作品タイトルを探す楽しみもポイントです。
【「: evolve」の歌詞を見るなら:Angelo :evolve 歌詞 – 歌ネット】
作品形態として
アルバムは初回限定盤と通常盤の2形態で発売され、限定盤にはミュージックビデオやメイキング映像などを収録した特典DVDが付属。ヴィジュアル面でもAngeloの世界観が表現されており、音楽と映像の両面からバンドの進化を体感できる内容となっています。
『evolve』は、Angeloというバンドの過去と現在、そして未来をつなぐ架け橋のような存在であり、再始動した今だからこそ、その意義と価値がより鮮明に浮かび上がります。長年のファンにとっては成熟と深化を感じられる作品であり、これからAngeloを知る人にとっても、彼らの本質と魅力が凝縮された“入り口”として最適な1枚です。
〝PR:Amazonアフリエイト広告を利用しています〟
まとめ:『evolve』が示すAngeloの未来
という訳で、アルバム『evolve』を通して、Angeloというバンドの音楽的・精神的な進化を明確に示す作品ということを証明してきました。2020年のリリース当時、世界は経験したことのないパンデミックに遭い、未曾有の混乱に包まれていました。『evolve』には、そんな不確かな時代においても“個”としての尊厳を保ち、自分自身を問い続ける姿勢と常にアップデートしていく精神性が刻まれていました。
それはまさに、Angeloというバンドがデビュー以来一貫して貫いてきた「進化」というテーマでもあります。再始動を果たした現在、「ポストコロナ」としてのかれらの存在感と意義はより一層深まっています。
活動休止から約3年を経て、Angeloは再び立ち上がりました。その第一歩として、『evolve』は過去を総括しながらも、これからの音楽的方向性を明示する道標となっています。これからAngeloを聴き始める人にとって、『evolve』は最もふさわしい入口となるはずです。そして長年のファンにとっても、本作は改めてバンドの本質を再確認できる“証”ともいえる存在です。
再始動した今だからこそ、このアルバムに込められた意志と希望をもう一度、深く感じ取ってほしい――『evolve』は、そんなAngeloが残したメッセージだとも言えます。
〝PR:アフリエイト広告を利用しています〟
【関連記事:La’cryma Christiの名盤『Lhasa』:再始動を機に聴くべき理由とその魅力】
【関連記事:L’Arc〜en〜Cielを聴くならコレ!「初めに聴くべき1枚」を紹介【音楽ブログ】】
【関連記事:2025年『SOPHIA』新作リリース&ツアー発表!『GIRLS and』の収録曲を解説する】

