「ミッドライフ・クライシス」教養論~50歳から何を学ぶか?~

教養

 皆さんは、「ミッドライフ・クライシス(中年危機)」という言葉を聞いたことがありますか?ミッドライフ・クライシスとは、一言でいうと「中年期に訪れる心理的な危機」のことを言います。

 一般的に、50歳を目前として、ミッドライフ・クライシスに陥る人が多いといわれ、人生の質を大きく下げてしまう大きな要因となっています。

 一説によると80%の方がミッドライフ・クライシス経験するとも言われています。心理的な危機に陥ることで、うつ病の発症や不安障害など精神疾患を引き起こすリスクも高まります

 この記事では、ミッドライフ・クラシスを詳しく知ると共に、50歳からの学びを通して、心理的な危機の乗り越えかたを考える記事となっています。

やびっちょさん
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自分はまだ、40代だし若いから関係ないや」という若い方こそ、今から準備することで、ミッドライフ・クライシスに陥らないですむように心がけることも大切だと思います。  

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  1. この記事を読んで欲しい人もしくは読んでわかること
  2. ミッドライフ・クライシスとは何か?
    1. ライフサイクル・モデルからみる危機(クライシス)
    2. ミッドライフ・クライシスが起こる原因は一つではなかった
      1. 原因その①:自分の人生の山頂が見えてくる
      2. 原因その②:病気が発見され、病気との闘いが始まる
      3. 原因その③:酒・賭け事・不倫…自分でコントロールできないことにのめり込む
      4. 原因その④:下り坂の向こう側に、遠くであるが死が見え始めている
      5. 原因その⑤:自分探しが終わらない
      6. 原因その⑥:子どもが自分の元から巣立ち、「空の巣症候群」に陥る
      7. 原因その⑦:過度なストレスを抱えたまま、オーバーワークを続けている
      8. 原因その⑧:人生をうまく乗り切った人が初めて「つまずき」と向き合う
  3. おっさん病・おばさん病(別名「老害」)チェック
  4. 中年期に学ぶ「教養論」として
    1. なぜ、中年期に教養が必要なのか?
    2. ファスト教養の弊害とは?
    3. 「リスキリング(学び直し)」と教養の違いについて
    4. 教養の第一歩として
  5. 教養の力で「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」を乗り切る
    1. 「ヤバい」で感情を表現するクセを止める
      1. 中年期(社会人の先輩)は間違いを指摘してもらえない
    2. 陰謀論に巻き込まれない
  6. まとめとして「ミッドライフ・クライシスをチャンスに変える」
    1. 中年の危機を自己成長の機会と捉える
    2. 新たな学びや挑戦が人生に活力をもたらす
  7. さいごに(まとめとして)
    1. 関連投稿:

この記事を読んで欲しい人もしくは読んでわかること

 この記事は、『鎌田實著、ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』と併せて、『池上彰著、50歳から何を学ぶか~賢く生きる「教養の身につけ方」』の二冊をベースに『中年期の教養と生きがい論』について考察する記事です。

  • ミッドライフ・クラシスについての理解が深まります
  • 中年期のクセ”おっさん病”や”おばさん病”(別名「老害」)について解説します
  • 中年期以降を実り豊かに生きる「中年期の教養論」について解説します

 50代前後で人生の転機や不安を感じている方、キャリアや家庭健康に変化を感じている方、新たな学びや自己成長を求めている方などにもぜひ読んで欲しい構成となっています。

やびっちょさん
やびっちょさん

鎌田實さんと、池上彰さんの著書をベースに、自分の実体験を織り交ぜること「知の通った」記事になるように解説していきたいと思います。

ミッドライフ・クライシスとは何か?

 記事の初めにもふれましたが、「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」という言葉は、中年期を迎えた個人が経験するアイデンティティや自己肯定感の変化を「心理的危機」と、とらえる概念です。

 ミッドライフ・クラシスの恐ろしいところは、人生に躓いた人だけが経験するのではなく順風満帆で人生を歩んでいる人にも陥る可能性が高いところだと言えます。

 『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』著者、鎌田實さんも実際にミッドライフ・クライシスに陥いった経験があると話されています。「眠れない夜が続いた。動悸に苛(さいな)まれた。冷や汗に襲われた」と語っており、医師でありながらミッドライフ・クライシスの症状に苦しんだと書かれています。

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ライフサイクル・モデルからみる危機(クライシス)

 発達心理学者のエリク・エリクソンの提唱した「ライフサイクル・モデル」という考えかたがあります。エリクソンは、乳児期から65歳以上の老年期まで人生の節目を8つのステージに分けて考えました。各ステージにおいては重要な対人関係が存在し、その対人関係を通して発達が進展していきます。発達が上手く進むか、うまくいかないかの分岐点として各ステージではそれぞれに危機(クライシス)が訪れます。そのうち、40歳から65歳までの間を成人後期と区分しました。

 人生が上り坂から下り坂に入っていくまさに成人後期、人間は心の問題だけでなく、身体の問題も微妙に関係しながらさらなる下り坂に入っていく。

 このいくつかの問題を抱えやすい成人後期に「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」は起きるのだ。

引用:『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』13ページより

 体力や意欲が旺盛な20代後半から30代頃までは、仕事や家庭の子育てに奔走し余計なことを考えることも(暇も)なく、ひだすらに頑張ることで日常が過ぎていきました。ですが、40代も中頃を過ぎると、体力や意欲も落ちて無理も出来なくなり、心身ともに「老い」という衰えを感じ始める頃だと言われています。問題なのは、「老い」という自身の衰えに対して自身の価値観(アイデンティティ)が合わなくなることで心理的な危機(クライシス)が起こるとされています。

ミッドライフ・クライシスが起こる原因は一つではなかった

 しかも、ミッドライフ・クライシス(中年の危機)が起こるきっかけは一つではないと、本書では解説されています。ですが、先ほども紹介したように、老いという衰えに自覚したときに様々な問題が表面化してきます。ミッドライフ・クライシスの厄介なところは、多くの場合、本人が自分の不安定さを自覚していないことが問題だと言います。そこで、著者の鎌田流に沿って、ミッドライフ・クライシス(中年の危機)がどのような時に起こるのか?その原因を読み解いていきたいと思います。

原因その①:自分の人生の山頂が見えてくる

 40代に突入すると、人生の山頂(思い描いた理想)が思った以上に低いことを知った途端、言葉では言い表せない絶望感が押し寄せると言います。例えるなら、若い頃から目標として、会社で頑張って働いてきた目標が「出世すること」であったり、愛情を注いで子育てしてきた我が子を「難関大学に入学させる」と思って、一生懸命に打ち込んできたことが「必ずしも叶う訳ではない」と思い知らされる時、人は自分の価値観(アイデンティティ)が大きく揺らぐと言います。思い描いた理想とのギャップに併せて、これから「人生の下り坂」である現実と向き合う時に人の心は憂鬱に悩まされてしまいます。

原因その②:病気が発見され、病気との闘いが始まる

 健康だった人が病におかされると、これまで当たり前だった生活が突然できなくなることがあります。自覚症状があまりない病気ならお薬を飲みながら仕事や家事も続けていけますが、脳梗塞やがんと言った重篤な病気になると、自分のライフスタイルを見直さなければいけなくなることもあります。

 若い頃は気にならなかった健康問題をきっかけに、仕事やお金、子育てなど、色々な責任がある中で、病気との向き合うということは思ったより困難で想像以上のストレスになります。そのことによりミッドライフ・クライシスに突入してしまうことも珍しくありません

原因その③:酒・賭け事・不倫…自分でコントロールできないことにのめり込む

 この時期に、アルコールなど依存性のあるものにのめり込んでいく人も多いそうです。仕事や家庭という環境からくるストレスや、そのストレスとの向き合いかたから目を背けると、賭け事や不倫に走ってしまうことも多いと言います。

 アルコールもそうですが、賭け事や不倫が怖いところは、「仕事や家庭を壊してしまう原因」を作ってしまうことです。日常的に飲酒をすることで「飲酒運転で捕まってしまった」、賭け事にはまったことで「会社のお金に手を出してしまった」や、不倫にはまったことで「相手側の家族から多額の慰謝料を請求された」など、仕事や家庭を壊すだけでなく、高すぎる代償を支払わなければならないことも起こりえます。

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原因その④:下り坂の向こう側に、遠くであるが死が見え始めている

 若い頃のほとんどの人は、自分の「死」を意識することはないでしょう。人生の折り返し地点を過ぎて、老いという衰えを感じると同時に人生の終わりが近づいていると、ふと感じる瞬間があると言います。坂の向こう側に死を意識した瞬間に「自分がこれまで何を成してきて、これから先何ができるのか」という焦りが生まれるといいます。

 仕事や家庭に自分の価値観を置くことも大切ですが、一つの居場所しか持たなかったことで視野が狭くなることがあります。死という終わりを意識することで、自分の価値観(アイデンティティ)がゆらぐことでミッドライフ・クライシスを迎えてしまうこともあります。

原因その⑤:自分探しが終わらない

 映画『マトリックス』や『スピード』など激しいアクションで名をはせたハリウッド俳優のキアヌ・リーヴスさんは、その成功とは裏腹に「ひとり公園のベンチでサンドイッチを食べる姿」や「ホームレスの隣で寝ていたり、同じ服を着ている」など、ホームレス俳優としてパパラッチされた過去があります。「40歳メルトダウン」「第二思春期」など彼独自の表現を使いながら、キアヌ・リーヴスさんはミッドライフ・クライシスを味わったようであると本書では書かれています。

 彼の幼い頃の家庭環境や私生活をみると、決してサクセスストーリーという一言で片づけられない苦労がありながらも、思春期や青年期の間に確立しておかなければならないアイデンティティが確立できていない。モラトリアム状態が続き、青春時代のあこがれを引きずっている。そんな人たちがミッドライフ・クライシスの波を大きなものにしていると書者は言います。

原因その⑥:子どもが自分の元から巣立ち、「空の巣症候群」に陥る

 「空の巣症候群」は、女性に多いと言われています。子育てを一生懸命やってきた人ほど、子どもが成長し自分の元から離れていくときになって初めて自分の価値観(アイデンティティ)が揺るぎます。自分の親としての役割を喪ったことによる空虚感や喪失感に襲われることで、「自分は何のために生きているのかわからない」など、強い虚脱状態になると言います。もちろん男性にもあるとされています。

 ちなみに、「空の巣症候群」になりやすい方の特徴を次のように上げています。

  • 妥協を許さずに一生懸命であり、性格的に努力家
  • 家庭以外に他人と交流する場面に乏しい
  • パートナーとの信頼関係が普段十分に構築できていない
  • 専業主婦で近所付き合いが苦手
  • 趣味がない、もしくは育児・家事に含まれやすいものが趣味

引用:Copilot の回答より

原因その⑦:過度なストレスを抱えたまま、オーバーワークを続けている

 著者の鎌田實さんも、48歳の時にパニック障害に襲われたと話します。1年ほど不眠が続き、発作性心房細動にも悩まされたと言いますが、原因は不明だったそうです。

 当時、自分が務める医院の経営を黒字にしながら「日本中から注目されるような温かい医療を」と言う理想に向けてオーバーワークをしていたと語られています。

 自分の限界を超えた過度のストレスはミッドライフ・クライシスをこじらせる危険因子になると警鐘を鳴らしています。

原因その⑧:人生をうまく乗り切った人が初めて「つまずき」と向き合う

 ミッドライフ・クライシスが難しいところの一つとして、「人生が険しく、うまくいかなかった人だけがミッドライフ・クライシスに陥るわけではない」ところだと、解説されています。先のキアヌ・リーヴスさんも件もそうですが、以前、対談された武田鉄矢さんも、40代から20年間近く、鬱々とした時期があったと語られています。武田鉄矢さん主演で大ヒットしたドラマ『101回目のプロポーズ』の少し後だったと言います。

 また、『アンナ・カレーニヤ』や『戦争と平和』など世界に名が残る作品を書いた、トルストイも10年ほど筆を絶っていた時期があったが、この時期もミッドライフ・クライシスに陥っていたと言います。

 人生を上手く乗り切った人たちも、人生の中間点でミッドライフ・クライシスという不穏な状態に陥るリスクがあると著書では語られています。

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おっさん病・おばさん病(別名「老害」)チェック

 ミッドライフ・クライシス(中年の危機)に陥るリスクを、8つの原因に分けて解説してきました。著者の鎌田實さんは「ミッドライフ・クライシスは変化に対応するための『成長痛』である」と語っています。

 人生、40・50年と生きてくると、生き方のクセがどうしても出てきます。ここで、一度、自分自身を客観的に見て、少しでもいいから軌道修正をすることが大事だと説きます。

 中には困った、“おっさん病”や”おばさん病”とになっている人がいます。一度、その傾向が無いか?チェックして欲しいと思います。中年期の病のことを別名「老害」と言います。

  • 自分の成功の根拠が「根性」だったと思う。人に対して根性論を押し付ける傾向がある
  • みんなで決めた結論に対して「待った!」を言いたくなる
  • 何に対しても、マニュアル通りでないと気が済まない
  • 自分の政治的な思想に誇りを持っている、自分と違う思想や意見に耳を傾けない
  • 自分や周りに、過剰に節約・浪費を強いる

 本書から、要約して要点をまとめてみました。上記の5つのポイントに一つでも当てはまるなら、一度は自分のクセを見直してみるといいと思います。己を知ることは難しくとても大切なことだと教えてくれます。

【関連記事:「前田康二朗著、メンターになる人、老害になる人」を読んで知る教育論について【読書ブログ】

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中年期に学ぶ「教養論」として

 そこで、「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」を回避する上で提案する方法の一つとして、中年期に学ぶ「教養」を上げたいと思います。

 40代も、仕事や育児で忙しく過ぎてしまい、気がつけばあっという間に迎えた50代。教養は手軽に身につけることはできませんが、学ぶことに対して決して遅すぎることもありません。

 先にふれました「老害」にならない為にも、教養を身につけて実りある人生の後半を過ごせたらと思います。

 40年、50年と生きてくると、生き方のクセがどうしても出てきます。そのクセとは視野狭窄(認識が狭くなる・偏見や偏狭になる)に陥る」ことだと言えます。この記事では、もう一つのタイトルとして「中年期に学ぶ教養論」を身につけることで、自分を「老害」にならないように客観視できる視点を持ち「人間を知る」ことで、これまでの人生経験と知識を教養に昇華できるヒントになればと思います。

やびっちょさん
やびっちょさん

ここからは、池上彰著、『50歳から何を学ぶか~賢く生きる「教養の身につけ方」~』を元に中年期の教養論を解説していきたいと思います。

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なぜ、中年期に教養が必要なのか?

 著者の池上彰さんだけでなく、教養について語る本のほとんどが「教養はすぐに身につくものでは無い」と語っています。なぜ、教養がすぐに身につかないのか?の問いに本書は回答してくれています。

「すぐに役立つもの」、つまり実学の限界を知ったからだと、池上さんは語ります。まさに、中年期に学ぶ教養として「実学を知り尽くした年代だからこそ、教養を深く知る資質がある」と言い換えることができます。

 教養は、今日学んだことが明日に使えるとは限りません。出世や収入につながるかと言われれば「NO」としか言えません。教養とは、言ってみれば「コスパ」が悪い代表例とも言えます。一方で、教養を学ぶ意味とは、技術や社会がすざましいスピードで変化していく現代において、目先の情報にとらわれるのではなく、「本質を見抜く」視点を身につけることが出来ると言えます。

 例を挙げるなら、先のコロナ禍の中で、テレビから流れる報道や真偽不確かな情報の中で、ソーシャルディスタンスや移動の制限、ワクチン接種の強要など、色々な意見が情報が溢れたと思います。大切なことは、「自らの健康や権利」を簡単に国家に渡して良いのか?という問いを私たちに突き付けられました。そんな答えの出ない問いに対して「自分はどう行動するべきか?」という行動指針は、実学からは決して得られないと言えます。

ファスト教養の弊害とは?

 教養を求めるあまり、手軽に気楽に教養を身につけようとする「ファスト教養」なる言葉まで誕生しました。ファスト教養とは?物ごとを手っ取り早く理解して、ビジネスシーンで上手く立ち回ることで、仕事の成果や収入を上げる」というものです。

 もちろん、社会に出たばかりの若者が、成果をいち早く成し遂げたい、収入を少しでも多く得たいという気持ちも痛い程わかります。そのモチベーションを活かして「ファスト教養」でも、真の教養を得るには?という記事を過去にも書きました。

 ですが、これは(ファスト教養)は、本来の教養のあり方とは相反する姿勢だと、本書では警告します。繰り返すように、教養とは本来は即効性とは無縁で、「人間とは何か?」や「世界の成り立ちや在り方とは?」という哲学的な問や、「歴史から人は何を学ぶか?」など、人類が今まで獲得してきた英知を受け継ぐような作業とも言えます。

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【関連記事:「手っ取り早く教養を身につける」レジー著、『ファスト教養』を読んで考える教養論

「リスキリング(学び直し)」と教養の違いについて

 昨今、デジタル化やIT化、ICTの活用が挙げられる中、リスキニングの必要性が挙げられます。リスキニングとは聞きなれない言葉ですが、「リスキリング(学び直し)」について引用します。

「リスキリング(Reskilling)」とは、職業能力の再開発、再教育のことを意味します。近年では、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略において、新たに必要となる業務・職種に順応できるように、従業員がスキルや知識を再習得するという意味で使われることが増えています。

引用記事:リスキリングとは――意味やリカレント教育との違い、DX実現に向けた導入時のポイントや事例を紹介 – 『日本の人事部』

 特に中年期にとってデジタル化やIT化、ICTの活用は頭が痛い問題だと言えます。昔はアナログで対応していた業務が、デジタル化によって業務の効率化を見せつけられると「自分は必要がないのではないか?」と、思い知らされると思います。

 現場で活かしてきた技術や経験が必要のない環境になると、過去の遺産のような扱いをされたりします。一方で、出世をしたことでリスキニング(学び直し)をしなければならない状況も産まれます。

 リスキニングとは、学び直しという概念で考えるならば、教養の一種だと思われるかも知れませんが、リスキニングとは教養ではなく実学なのです

『50歳から何を学ぶか~賢く生きる「教養の身につけ方」~』では、仕事に直接役立つ技術としての学び(実学)と教養とは違った脈絡で語られています。

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やびっちょさん
やびっちょさん

私も、法人を立ち上げ独立して事業所を展開した際にICTについてリスキニングを経験しました。実体験として「すぐに役立つ知識だと思ったと同時に、時代が変われば使えなくなる知識」だと思いました。同時に、リスキニングを職員に伝える難しさも経験しました。

【関連記事:ハイブリッドワークを実施してわかったメリット・デメリット3つのポイント

【関連記事:「在宅ワーク」の功罪と「ケアマネージャー」としての働き方について

教養の第一歩として

 教養を身につける、はじめの一歩として「読書」であり、ネット検索で本を購入するのではなく、ちゃんと書店に行って本棚を眺めることから教養は始まります。活字離れと言われていますが、YouTubeなどの動画や「まとめ記事」で手軽にに知識を得ようとはしないで、「書店に出向いて本棚を眺める」経験を一度はして欲しいと思います。

「でも、どんな本を読んで良いのかわからない」と、著者の池上さんも人から質問を頂くそうです。私個人的な意見として、「気になるトピックを事前にネット検索で調べてから書店に出かける」という方法も面白いと思います。

やびっちょさん
やびっちょさん

 最近では、「トランプ関税」が話題ですが、少しでも興味を持つトピックなら、関税について書かれた本などを検索して書店に出かけてみる。気になる本を探しているうちに他の本に目移りが・・・みたいな流れが理想だと思います。

教養の力で「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」を乗り切る

 「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」とは、中年期を迎えた個人が経験するアイデンティティや自己肯定感の変化を「心理的危機」と、とらえる概念だと冒頭で説明しました。ここでは、教養を身につけることで、ミッドライフ・クライシスを乗り越えるというテーマで解説していきたいと思います。

 なぜ、教養がミッドライフ・クライシスに有効なのか?というと、教養がある人は自分の思いを言語化できる語彙力を持っているからだと説明が出来ます。

「ヤバい」で感情を表現するクセを止める

 若い人の間で流行っていた「ヤバい」や「エグい」と言う言葉は、若者の間では「すごく良い」と言う意味で使われるようです。最近では、政治家のコメントの中にも「ヤバい」と言った言葉も当たり前のようにテレビから流れてきます。

 若い人ならともかく、中年期を迎えた良い大人が~と、説教するつもりはありません。「ヤバい」の言葉に慣れてしまう一番の怖さは、色々な感情の変化や機微な思いをすべて「ヤバい」片づけてしまうことが一番怖いのです。

 色々な状況の中で適切な言葉を選んで話すことは、脳にとっても良いことだと思います。それ以上に「自分の感情を言語化できる」ことは、難しい言葉で表現すると「自己認識を明確化する上で語彙力に基づいた感情表現は有効である」ということだと言います。

(前略)自分の感情を豊かな語彙を使って表現できる人は、自分の感情を明確に捉えられない人に比べ、言葉の暴力や腕力を振るうことが40%少ないとのこと。

表現豊かに自身の気持ちを言語化できる人ほど、感情的にならずにストレスを回避することができるというわけなのです。

***
感情のラベリングは、その場での感情の抑制だけではなくて、今後同じような状況になったときも衝動的な行動を起こさないための、ストレス体制の強化にもなります。感情に振り回されずに、冷静に自分の感情を見つめる習慣を身に付けていきましょう。

引用記事:ストレス対策はやっぱり「言語化」が最強だった。“自分のキモチ” を言葉にできますか? – STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

中年期(社会人の先輩)は間違いを指摘してもらえない

 上司や先輩と言われる立場になる「中年期」のもう一つの難しさが「間違いを指摘してもらえない」ことだと言えます。「なぁ~んだ!ミスをしても怒られない(指摘)ならラッキーじゃないか」と、思ったら大間違い。「言われるうちが華」という言葉もあります。周りが言ってくれるうちはアナタのことを気にかけてくれている証拠だと言えます。「言っても聞いてくれない」、あの人って「言うだけ無駄だよね」と周りに、思われたら一気に「老害」へまっしぐらです。しかも「老害」は中年期に起こる現象ではありません。会社やアルバイト先の先輩も態度によっては「老害認定」されてしまうのでご注意ください。

※POINT:「老害」は中年期だけに起こる現象ではない。会社やアルバイト先の先輩も態度によっては「老害認定」されてしまうのでご注意を。

陰謀論に巻き込まれない

 最近では、インターネットの普及で「何かを知りたい」と、思った時に本を参考にするのではなくてネットでググる(検索)する人が多くなったと池上さんは語ります。ネット検索では調べたい情報が玉成混合で画面上に出てくるため、一つ一つ情報を精査する能力が必要になると言います。

 特に問題になっているのは、陰謀論や偏った情報を広める動画を信じ込んでしまうという傾向です。「誰も知らない○○」「テレビや新聞が報じない△△」といった触れ込みの動画を見て、「他の人が知らない情報を、自分は知ってしまった!」と刺激と優越感を得てしまうのです。しかも悪いことに、一度その手の動画をクリックすると、同じような動画が次々に再生されるので、導かれるように「その世界」に入り込んでしまうのです。

引用:池上彰著、『50歳から何を学ぶか~賢く生きる「教養の身につけ方」~』67ページより

 私も、YouTubeを始めとした、陰謀論について一通り視聴しています。内容がとても面白く、鬱屈した現代の社会政治や物価高で苦しむ現状を思うと、全てを否定する訳ではありませんが「一度、立ち止まって考える」というスタンスも必要だと思います。

※POINT:世の中で起こるすべての悪いことに対して、根源的な悪って存在しないっていうことを、客観的に見れる視点を持てることが大事。

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まとめとして「ミッドライフ・クライシスをチャンスに変える」

 という訳で、「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」に対して、「中年期から学ぶ教養」という補助線を引いて解説してみました。

 「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」に対する対策として、教養がすべての万能薬だと言うつもりもありません。ですが、「敵を知り己を知ればなとやら~」ということで、自分の起こり得るかもしれない未来をあらかじめ知り得ることで防げることもあると思います。

 さいごに「ミッドライフ・クライシスをチャンスに変えるには?」という提案をいくつか挙げていきたいと思います。

中年の危機を自己成長の機会と捉える

 実際に、ミッドライフ・クライシスとは?中年の危機であると解説してきました。心理的な揺れを「危機」とだけ捉えるのではなく、「再出発の兆し」として受け止めることができれば、中年期は自己成長のための絶好のタイミングになります。なぜなら、人生経験を十分に積んだ今こそ、自分自身を深く見つめ直しこれからの人生をどう生きたいのか?を再定義する力が備わっているからです。

 たとえば、これまで外に向かって積み重ねてきた「成功」や「役割」を一度手放し、「本当に自分が大切にしたいものは何か」「どんな人生が自分にとって意味があるのか」といった根本的な問いに向き合うこと。それは、これまでの生き方を否定するのではなく、蓄積された知恵と経験をもとに、より本質的な自分へと近づくプロセスです。

 実際、多くの人がこの時期に新しい学びを始めたり、趣味を深めたり、社会貢献活動に参加したりすることで、新たなつながりや役割を発見しています。これらの取り組みは、自分の人生に再び意味と活力をもたらし、心の安定と充足感へとつながっていきます。

 中年の危機とは、単なる「終わり」ではなく「これから」の人生をどう構築していくかという問いへの入り口です。恐れや不安に支配されるのではなく、それらの感情を手がかりにして、自分らしい人生を見つめ直すチャンスとすることで、より深い自己理解と満足感を得ることができます。

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新たな学びや挑戦が人生に活力をもたらす

 年齢を重ねると、新しいことを始めるのが億劫になりがちです。しかし、50代からの「学び直し」や新しい挑戦は、人生に再び活力をもたらしてくれます。それは単に知識を増やすだけでなく自分の可能性を広げ心に新鮮な風を吹き込む行為です。

 新たな学びには、これまでとは異なる視点や価値観と出会うチャンスが詰まっています。例えば、哲学や心理学歴史などの教養は、人生の意味や自分自身への理解を深める手助けになります。また、デジタルスキルや語学などの実用的な学びは、社会とのつながりや仕事の幅を広げてくれるでしょう。

 挑戦することにも価値があります。慣れ親しんだ環境から一歩踏み出すことで、失敗を恐れる気持ちを乗り越え、内面的な成長を実感できるからです。何かを始めるのに遅すぎるということはありません。新しい趣味を始めたり、資格取得を目指したり、小さなチャレンジでも、自信と喜びが生まれます。

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さいごに(まとめとして)

 50歳からの人生は、決して下り坂ではありません。むしろ、自分の意思で方向を定め、納得のいく人生を歩むための「成熟のスタートライン」です。そう考えた時に、自分にしかない価値と意味を育てていく時期ととらえることもできます。

 人生後半を充実させるカギは、「これまでの自分」にとらわれず、「これからの自分」に目を向けること。学びと挑戦を通じて、自分の世界を広げていくことで、年齢に関係なく人生を輝かせることができるのです。

やびっちょさん
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最後までお読みいただきありがとうございました。次の記事でお会いできるのを楽しみにしております。

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やびっちょさん

【名前】やびっちょさん
【経歴】沖縄県で独立型の居宅介護支援事業所を立ち上げて運営しています。
【資格】主任介護支援専門員・社会福祉士・介護福祉士・住環境コーディネーター2級・産業ケアマネ2級・終活カウンセラー2級
【趣味】読書と音楽鑑賞。年間200冊は読みます。歴史小説や思想哲学、自己啓発本をつまみ食いしています。※プロフィール画像は娘(7)作

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