
『ミッドライフ・クライシス(中年危機)』という言葉を聞いたことがありますか?ミッドライフ・クライシスとは、一言でいうと”中年期に訪れる心理的な危機”のことを言います。
40代や50代に差しかかると、「なんとなく気持ちが晴れない」「仕事にやりがいを感じにくい」「体力の衰えを意識する」といった“しんどさ”を抱える人が増えてきます。
医師であり作家でもある鎌田實さんは、著書『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』の中で、「40〜60代の約80%の人がミッドライフ・クライシスに直面している」と指摘しています。
一般的に、50歳を目前として、ミッドライフ・クライシスに陥る人が多いといわれ、人生の質を大きく下げてしまう大きな要因となっています。
「人生の山頂が見えてきた」と感じて立ち止まっている人、「この先の自分に希望が持てない」と悩んでいる人にとって、本書は“答えのない問い”に光を当てるガイドブックのような存在になるでしょう。
この記事では、本書の内容を整理しながら、ミッドライフ・クライシスの正体とその乗り越え方を解説していきます。

「しんどい」って気持ちはね、だれにでもやってくる自然なことなんだよ。子どもが大きくなって家を出たり、体が前より疲れやすくなったり…。そういう時に心がゆれるのは病気じゃなくて、「次のステップに進むよ」っていうサインなんだよ。

ふーん!じゃあ“しんどい”ってなっても、わるいことじゃなくて“つぎのステップ”に行けるサインなんだね。ゲームでレベルアップするときに大変なのとちょっと似てるかも!
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ミッドライフ・クライシスが起こる背景とは?

40代から60代にかけては、一見すると家庭や仕事が安定しているように見えます。しかし、その裏側では心や体に大きな変化が訪れ、人生に不安を抱きやすい時期でもあるのです。具体的には、次のような状況が重なります。
- 努力の成果が出て安定しているように見える
- 体力や気力の衰えを自覚し始める
- 子どもの独立や親の介護などのライフイベント
- キャリアの停滞や先行きへの不安
これまで積み重ねてきた仕事や家庭生活は形になり、周囲からは充実しているように映ります。一方、以前のように無理がきかず、「この先どうなるのだろう」という不安が芽生えます。
家族のライフステージが変わることで、役割や責任の変化に直面します。加えて、仕事での成長が鈍化し、将来像が見えにくくなることで、心が揺れ動きます。
ミッドライフ・クライシスの怖いところは、「人生につまずいた人」だけがなるんじゃなくて、むしろ順調に歩んできた人でも陥ってしまう可能性が高い、という点にあります。
つまりミッドライフ・クライシスは特別な人だけに起こるものではなく、誰もが直面し得る普遍的なテーマなのです。

みのる先生も「ミッドライフ・クライシス」っていう大人のしんどい時期を体験したんだって。先生は「夜ねむれない日がつづいたり、ドキドキが止まらなくなったり、つめたいあせが出たりして、とてもつらかったよ」って話しているの。お医者さんでもそういう気持ちや体のつらさに悩むことがあるんだ。

えっ、お医者さんでもそんなにつらいことあるんだ!なんだかちょっとびっくり。でも、先生も同じようにしんどい時があるって聞くと、わたしたちだけじゃないんだって思えて少し安心するね。
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エリクソンの成人後期理論との関連性について
発達心理学者のエリク・エリクソンは、人の一生を「ライフサイクル・モデル」と呼ばれる考え方で説明しています。これは、乳児期から老年期(65歳以上)までの人生を、8つのステージに分けて整理したものです。
それぞれのステージには大切な人間関係があり、その関係を通じて私たちは成長していきます。その成長の途中では必ず「危機(クライシス)」と呼ばれる転機が訪れます。そこでの向き合い方によって、次の段階へと発達が進むか、それともつまずいてしまうかが分かれるのです。
エリクソンは特に40歳から65歳までを「成人後期」と位置づけ、この時期に訪れるクライシスこそが、いわゆる“ミッドライフ・クライシス(中年の危機)”にあたると考えました。
人生が上り坂から下り坂に入っていくまさに成人後期、人間は心の問題だけでなく、身体の問題も微妙に関係しながらさらなる下り坂に入っていく。
このいくつかの問題を抱えやすい成人後期に「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」は起きるのだ。
引用:『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』13ページより
20代後半から30代にかけては、仕事に全力で打ち込み、家庭では子育てに追われる毎日。振り返る暇もなく、ひたすら走り続けることで日常が過ぎていった、という方も多いのではないでしょうか。
ところが40代も半ばを過ぎる頃になると、少しずつ体力や意欲の低下を感じ始めます。「昔のように無理がきかないな」「前より疲れやすいな」と思う瞬間が増え、心と体の両方で“老い”という現実を意識するようになるのです。

人って年を取ると、ちょっと疲れやすくなったり、がんばる気持ちが少なくなったりするんだ…。だから、″前より元気がなくなってきたかも”って思うことがふえるんだね。今のパパがそうだもんね!

問題なのはね、「年をとって体が弱ってきたな」って感じるときに、自分がこれまで大事にしてきた考え方とか価値観が合わなくなっちゃって、それが心のピンチにつながるんだ。
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“しんどさ”の原因を8つに整理

『ミッドライフ・クライシス~80%の人が襲われる”しんどい”の正体~』では、「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」が訪れるきっかけは、決して一つではないと解説されています。
年齢を重ねて“老い”を意識し始めたとき、心や体にさまざまな不安が表面化してきます。厄介なのは、ほとんどの場合、本人がその不安定さを自覚できずに過ごしてしまうこと。これが、ミッドライフ・クライシスを深刻にしてしまう大きな要因なのです。
そこで今回は、著者・鎌田實さんが示す視点をもとに、「中年の危機」がどんなときに起こるのか、その原因をひとつずつ読み解いていきたいと思います。
原因その①:自分の人生の山頂が見えてくる
40代に突入すると、人生の山頂(思い描いた理想)が思った以上に低いことを知った途端、言葉では言い表せない絶望感が押し寄せると言います。
若い頃から「出世すること」や「子どもを難関大学に入れること」を目標に、一生懸命努力してきても、それが必ずしも実現するとは限りません。
その現実に直面したとき、人は自分の価値観(アイデンティティ)を大きく揺さぶられると言われています。

思い描いてた理想と現実のギャップに気づいて、しかも「これからは人生の下り坂なんだ」って現実と向き合うとき、人の心ってどうしてもゆううつになって悩んじゃうんだよね。
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原因その②:健康問題がきっかけで訪れるミッドライフ・クライシス
健康に自信があった人でも、病気をきっかけにこれまで当たり前だった生活が一変することがあります。
自覚症状の少ない病気であれば、薬を飲みながら仕事や家事を続けられる場合もありますが、脳梗塞やがんといった重い病気に直面すると、これまでのライフスタイルそのものを見直さざるを得ません。
若い頃には意識しなかった「健康の問題」が、中年期になると現実味を帯びて襲ってきます。仕事や家庭、お金、子育てなど、同時に多くの責任を抱えるこの年代にとって、病気と向き合うことは想像以上に困難で、心身に大きなストレスを与えるのです。

こんなふうに健康の不安がきっかけで、ミッドライフ・クライシスに入っちゃうことって、ぜんぜんめずらしくないんだね…。まさに「心と体のバランスがくずれること」が、中年の一番大きな試練って言えるんだ。
原因その③:依存が招く「人生の落とし穴」
中年期の大きなストレスを抱える時期には、アルコールなど依存性のあるものにのめり込んでしまう人も少なくありません。
仕事や家庭からくる重圧、そのストレスと正面から向き合うのを避けるあまり、賭け事や不倫といったリスクの高い行動に走ってしまうケースもあるのです。
アルコール依存やギャンブル、不倫の怖さは、「一時的な逃げ場」がやがて仕事や家庭を壊す引き金になってしまう点にあります。
日常的な飲酒が原因で飲酒運転により逮捕される、ギャンブルにのめり込み会社のお金に手を出してしまう、不倫の代償として相手の家族から高額な慰謝料を請求される…。こうした事態は決して他人事ではなく、現実に起こりうるリスクです。

心のスキマをうめようと思っただけなのに、気づいたら取り返しのつかない代償をはらうことだってあるんだよ。だからこそ、この時期に「依存の落とし穴」にちゃんと気づくことが、ミッドライフ・クライシスをのりこえる大事な一歩になるんだ。
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原因その④:死を意識したときに訪れる心の揺らぎ
若い頃、多くの人は自分の「死」を意識することはほとんどありません。けれども人生の折り返し地点を過ぎ、体力や気力の衰えを感じるようになると、ふと「人生の終わり」が近づいていることを意識する瞬間があります。
坂の向こうに“死”を見たとき、人は「これまで自分は何を成し遂げてきたのか」「これから先、何ができるのか」という焦りにかられるのです。
仕事や家庭に自分の価値を見出すことは大切です。しかし、その居場所だけに自分を預けてしまうと、かえって視野が狭くなり、柔軟に生き方を変えることが難しくなることもあります。

「死」っていう終わりを意識したとたんに、自分の大事にしてきた価値観がグラグラ揺れちゃって、そのせいでミッドライフ・クライシスに入っちゃうって…なんだか怖いなぁ…
原因その⑤:キアヌ・リーヴスが経験した「40歳メルトダウン」
映画『マトリックス』や、現在上映中の『バレリーナ:The World of John Wick」』の出演で活躍されるハリウッドスターキアヌ・リーヴス。
華々しい成功を手にした一方で、彼には「ひとりで公園のベンチに座りサンドイッチを食べる姿」や「ホームレスの隣で寝ている姿」をパパラッチされた過去があり、 “ホームレス俳優”と揶揄された時期もありました。
本書では、彼自身が「40歳メルトダウン」や「第二思春期」と表現したように、まさにミッドライフ・クライシスを経験していたことが紹介されています。
キアヌの生い立ちや私生活を振り返ると、その人生は決して順風満帆なサクセスストーリーではありません。
幼少期から家庭環境に苦労が多く、思春期や青年期に本来なら築かれるはずのアイデンティティが確立できずに大人になった、と言われています。
その結果、モラトリアムのような状態を引きずり、青春時代の憧れに縛られたまま中年期を迎えてしまったのです。

「自分はこうだ!」っていうアイデンティティがちゃんとできてない人ほど、ミッドライフ・クライシスの波をドーンと強く受けちゃうんだよ。ハリウッドで大成功してる俳優だって、その例外じゃないんだ。
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原因その⑥:「空の巣症候群」がもたらす心の揺らぎ
「空の巣症候群」とは、子どもが成長し親元を離れていくときに、多くの親が感じる心の空虚感のことを指します。
特に女性に多いと言われており、これまで子育てに全力を注いできた人ほど、子どもが巣立った後に初めて自分の価値観(アイデンティティ)が揺らぐのです。
「親としての役割」を喪った瞬間、強い喪失感や空虚感に襲われ、「自分は何のために生きているのだろう」と深い虚脱感に陥るケースも少なくありません。
これは決して女性だけの問題ではなく、男性にも同じような感情が訪れることがあるとされています。
子どもの独立は喜ばしい一方で、親にとっては新たなライフステージの始まりでもあります。空の巣症候群はまさに、ミッドライフ・クライシスの一因となる出来事のひとつなのです。

ちなみにね、「空の巣症候群」になりやすい人の特徴って、こんな感じなんだって。これは Copilot の答えからの引用なんだけどね。
※POINT:「空の巣症候群」になりやすい人の特徴
- 妥協を許さずに一生懸命であり、性格的に努力家
- 家庭以外に他人と交流する場面に乏しい
- パートナーとの信頼関係が普段十分に構築できていない
- 専業主婦で近所付き合いが苦手
- 趣味がない、もしくは育児・家事に含まれやすいものが趣味
原因その⑦:過度なストレスを抱えたまま、オーバーワークを続けている
著者の鎌田實さんは、自身も48歳のときにパニック障害に襲われた経験があると語っています。約1年にわたって不眠に悩まされ、発作性心房細動まで発症したといいますが、はっきりとした原因は分からなかったそうです。
当時は、自らが院長を務める医院を黒字経営へと導きながら、「日本中から注目されるような温かい医療を実現したい」という理想を掲げ、休むことなく働き続けていました。しかし、その結果として自分の限界を超えてしまい、心身に大きな負担をかけていたのです。

鎌田さんはね、自分の体験から「ストレスをかかえすぎると、ミッドライフ・クライシスをもっと悪くしちゃう危ないきっかけになるよ」って伝えてるんだ。理想を追いかけるのはいいことだけど、同時に“がんばりすぎない勇気”を持つことが、中年期をのりこえるカギになるのかもしれないね。
原因その⑧:成功者にも訪れるミッドライフ・クライシス
ミッドライフ・クライシスの難しさのひとつは、「人生が険しく、うまくいかなかった人だけが陥るわけではない」という点です。本書でも、順調に見える人生を歩んできた人であっても、その影で深い心の揺らぎを抱えることがあると解説されています。
たとえば、俳優のキアヌ・リーヴスさんが「40歳メルトダウン」を経験したことは有名ですが、同じように武田鉄矢さんも40代から20年近く鬱々とした時期を過ごしたと語っています。
主演ドラマ『101回目のプロポーズ』が大ヒットした少し後のことでした。華やかな成功の裏側に、長い苦悩の時間があったのです。
文学界の巨匠トルストイも例外ではありません。『アンナ・カレーニナ』や『戦争と平和』といった名作を残した彼でさえ、約10年間筆を執れない時期があり、それもまたミッドライフ・クライシスによるものだといわれています。

先生は、「人生を順調に歩んできた人でも、ちょうど真ん中あたりに来たときにミッドライフ・クライシスっていう不安定な状態に落ちちゃうリスクがあるんだよ」って警告してるんだ。成功した人の話を聞くと、それが特別なことじゃなくて、ほんとに誰にでも起こりうることなんだってわかるよね。
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さいごに:40歳からの人生は「成熟のスタートライン」

40代・50代を迎えると、多くの人が「なんとなくしんどい」と感じる瞬間に出会います。これは決して特別な人だけに起こることではなく、誰もが人生の折り返し地点で直面しやすい心と体の揺らぎです。
40歳からの人生は、決して下り坂ではありません。むしろ、自分の意思で方向を定め、納得のいく人生を歩むための「成熟のスタートライン」です。そう考えた時に、自分にしかない価値と意味を育てていく時期ととらえることもできます。
人生後半を充実させるカギは、「これまでの自分」にとらわれず、「これからの自分」に目を向けること。学びと挑戦を通じて、自分の世界を広げていくことで、年齢に関係なく人生を輝かせることができるのです。

この時期ってね、「これまでの自分」にしばられるんじゃなくて、「これからの自分」に目を向けることが大事なんだよ。過去をふり返ってクヨクヨするより、新しいことを学んだり挑戦したりして、自分の世界を広げていく。その積み重ねがあれば、年齢なんて関係なく、人生をもっとキラキラさせられるんだ。

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