先日、東京ドーム公演「LUNATIC TOKYO2025」を終えたばかりのLUNASEAですが、2025年3月26日には、昨年10月、大宮ソニックシティで開催された<LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 3- “SHINING BRIGHTLY”>と「LUNA SEA 35th ANNIVERSARY TOUR 2024 ERA TO ERA -EPISODE 3- “BRAND NEW CHAOS”」の2公演をライヴ映像として、Blu-rayで作品がリリースされました。
ここ最近は、SLAVE(LUNASEAファンの呼称)にとってうれしいニュースが届きます。
また、RYUICHI、INORAN、キーボーディスト兼コンポーザーのH.Hayamaによる「Tourbillon再始動」がアナウンスされ、9年ぶりのアルバムがリリースされるなど目覚ましい活躍が止むことを知りません。
今回、長いキャリアを構築しているLUNASEAを知るためのきっかけとして「初めに聴くべき1枚目」のおすすめ作品として、『LUNACY』を紹介します。
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『LUNACY』とは?
『LUNACY』(ルナシー)は、2000年7月に、7枚目のオリジナルアルバムで、終幕前の最後の作品という位置づけになっています。『LUNACY』収録のシングル曲として「gravity」、「TONIGHT」が収録されていますが、両曲ともに大ヒットとなっています。(「gravity」オリコンシングルチャート1位・「TONIGHT」オリコンシングルチャート4位)
『LUNACY』の製作にあたっては、SUGIZOの提案により期間を設けずに無期限でのレコーディングに挑みました。結果、1年余り(LUNASEA全作品では最も長い時間)をかけて作成されただけあって、実にクオリティの高い作品となっています。
『LUNACY』の印象としては「2000年だからこそ鳴らすことができたLUNASEA(当時)の現在進行形を見せつけた作品」だといえます。初期のダークでゴシックなテイストを昇華した上で、00年代に鳴っていたメタルでヘヴィネスさをLUNASEA流に解釈して見せた、ロックとして世界に引けを取らないクオリティだといえます。この後、解説します『Sweetest Coma Again 』は、映画「007~ワールド・イズ・ノット・イナフ~」の日本版テーマ曲で使用されていますが、当時サウンドトラックを聴いた時に他の曲に引けを取らない、むしろ一番ロックでカッコイイと感じたことを昨日のように覚えています。
という訳で、『LUNACY』のレヴューをしていきたいと思います。
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1曲目『Be Awake』
原曲・作詞、SUGIZO、サンプリングされたファンの歓声とともに高らかにギター音とドラムが疾走します。前作『SHINE』を継承するような、RYUICHIのボーカルにPOPなテイストも含まれていて聴きやすさを感じさせます。あえて、ネガティブな表現をするなら「河村隆一らしさを感じる」テイストに、拒否反応を示したSLAVEも多かったと記憶しています。個人的には、成長し変化することを前向きに受け入れるタイプなので、肯定的にとらえていました。「そう、気づいたら走りだそう」と言うポジティブな歌詞に象徴されるようなオープニングにふさわしい1曲だと思います。
「目覚めるための 陣痛が終わる」というフレーズに、『LUNACY』という作品が、全作品をとおして製作期間が最長だったエピソードが思い起こされます。難産と共に産み出された、『LUNACY』を祝福するような曲だと思います。
【『Be Awake』歌詞を見るなら:LUNA SEA Be Awake 歌詞 – 歌ネット】
2曲目『Sweetest Coma Again feat. DJ KRUSH』
原曲はJ、この曲と、続く4曲目も併せて、feat. DJ KRUSHが参加。バキバキの重低音ドラムとベースにスクラッチからの導入。まさしく00年度のLUNASEAを体現した楽曲だと言えます。先ほどの、軽やかなボーカルから一転、攻撃性を秘めたRYUICHIのボーカルも聴きどころです。
先ほどもふれましたが、アルバム発売前に、映画「007~ワールド・イズ・ノット・イナフ~」の日本版テーマ曲としてサウンドトラックが発売されると聞いて、TSUTAYAに行って視聴版を聴ききました。ヘッドフォンから聞こえてくる『Sweetest Coma Again』に「待っていた甲斐があった」と、喜んだ記憶があります。
当時、洋楽ではレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンや、コーン、リンプビズキット全盛の時代、日本からの回答として『Sweetest Coma Again』は『LUNACY』の中でも存在感のある、00年代ロックを表現した1曲だと思います。
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3曲目『gravity』
LUNASEA、12枚目のシングル曲『gravity』日本語で「重力」を意味する。INORANが原曲で、INORANが詞もかいていたが、RYUICHIが補い完成させたと言われています。
曲調としては、ミディアムテンポな楽曲で『gravity(重力)』とは裏腹に浮遊感あふれる雰囲気が全体を覆います。初めて聴いた印象として、「今までのLUNASEAとは違う」と感じました。今でも、この曲は他のシングル曲とは違う位置づけだと思っています。
水溶性な雰囲気の中でに溶けて消えていくようなイメージとメロディーラインが抜群で、今でもINORANの最高傑作と言われる曲になっています。2025年に聴いても古臭くなくて、新鮮な気分にさせてくれます。
ミュージックビデオでは雨が降りしきる森の中で降られながら「さよなら」を何度も歌うRYUICHIの歌声や灰の中で崩れ落ちていくJの姿など、どことなくバンドの終わりを感じさせる予感がしました。実際に、この後、終幕を聞いて「やはりか…」と、落胆した記憶があります。
『gravity』は、未来への不吉な予感と、それでも続いて欲しいという希望を混ぜ込んだ、可能性を秘めた楽曲…。そんな1曲でした。
【『gravity』のMVを観るなら:LUNA SEA – 「gravity」MV】
4曲目『KISS feat. DJ KRUSH』
『KISS feat. DJ KRUSH』は、原曲・詞はSUGIZO、艶やかで怪しさを秘めたミディアムテンポのナンバーで、当時のLUNASEAにして実験的な楽曲だと言えます。ライブでは変幻自在なテンポでトリップできる真矢のドラムテクとJのベースのグルーブが聴きどころとなっています。
「もっと近づきたい」「皮膚が邪魔するんだ」と、エロティックな表現にRYUICHIの歌声が雰囲気を盛り上げます。中盤の間奏で、JのゴリゴリのベースにSUGIZOのカッティングが重なって二人のシルエットが曲を聴いていて自然に体が動いてしまいます。ライブ映像でも楽しめる楽曲です。
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5曲目『4:00 AM』
原曲INORAN・詩もINORANをメインに作成。曲の冒頭に、携帯電話の着信音が鳴り響きます。タイトルの『4:00 AM』が示す通り、この時間帯に連絡がくる内容は決してポジティブな話ではない予感がしますが歌詞の内容からはうかがい知れません。
全編ピアノを前面に押し出したアレンジを選ぶ意味でも革新的な曲でもあり、INORANのアルペジオを聴くとパブロフの犬状態で涙腺が崩壊する私です。
ささやくような、か細く歌い上げるRYUICHIのボーカルは「河村隆一」の歌声では無く、進化したRYUICHIの表現力の高さがうかがえます。
6曲目『VIRGIN MARY』
SUGIZO原曲、LUNASEAの中でプログレッシブロックを表現するスケールが大きい曲で『LUNACY』のコアな部分を表現する曲でもある『VIRGIN MARY』。名作『MOTHER』で言うなら『GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜』や、『SHINE』で言えば、『ANOTHER』にあたるでしょうか(個人的には前作『SHINE』に対しても高評価です)。
初期の聖書をモチーフにしていた内容とリンクする歌詞。SUGIZOさんの原曲は「スピリチュアル」な観点から視点をとらえる部分もあって、世界観が壮大で聴く人の心を癒してくれます。その対極にあるのが、日常を描く世界観が多いINORANだったりして、作曲者として対比してみても面白いと思います。中盤のハイライトな曲ともいえます。
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7曲目『white out』
重厚な楽曲構成の『VIRGIN MARY』から一転、シンプルな歌いだしで始まる『white out』、『4:00 AM』もそうだけれど、INORANさんはRYUICHIが歌って気持ちいメロディーラインと音階を知り尽くしているようにも思います(Tourbillonでもそうですが、河村隆一名義でもINORANさんは曲を提供していてINORAN作曲の曲は気持ちよく歌っている印象が強いです)。
詞は“恋愛とは盲目である”という内容をホワイトアウトに例えたもの。 ギターソロ部分では、SUGIZOが着けているブレスレットが擦れている音も同時にミックスされている。
LUNACY – Wikipediaからの引用
細かいアレンジにこだわりを感じつつ、あるがままの「LUNASEA」を表現しています。シンプルでいて難しさ表現したミディアムテンポの楽曲だと言えます。
8曲目『a Vision』
後半の導入となる『a Vision』、Jの原曲らしくストレートなロックチューン。打ち込みから始まるイントロを打ち消すようにベースとギターのリフに併せて、RYUICHIのボーカルが魅せます。真矢とJのリズム隊が気持ちよく、『SHINE』では消化不良気味だったロックなLUNASEAを感じさてくれます。
ライブではBPMを上げてアレンジされており、RAPの導入では、Jがマイクスタンドを武器に「オイ!オイ!」と、煽られるとボルテージも爆上がりです。間奏のラップはアルバムではJが担当していますが、ライブではJとSUGIZOがワンフレーズずつ交互に担当しています。過去のスタイルにとらわれないアップデートされた00年代のロックを鳴らすLUNASEAがカッコイイです。
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9曲目『FEEL』
原曲はSUGIZO、個人的には海外のラウドロックと言われた洋楽から影響されたと思われます。重たいリフに乗せて、淡々と歌うRYUICHIのボーカル。静と動を組み合わせながらサビへと展開されていきます。当時、KORNなどの洋楽にはまっていた私は、「ニューメタル」に通じる、ド・ストライクなロックチューン。ライブ映像を観てもテンションが上がります。
ですが、この曲をライブで表現するのはかなり困難だと思われます。「終幕ライブでは、ファンを震撼させた真矢による血気盛んなドラミングだったり、 2022年のCROSSツアーファイナル公演でRYUICHIの声帯がボロボロで思うように歌えなかったり、 2025年でもクレームがつくなどのいわくつきの名曲だと言えます。
【『FEEL』のライブ映像を観るなら:FEEL #241 LUNA SEA】
10曲目『TONIGHT』
13thシングル『TONIGHT』、原曲は(やはり)J、先行シングルで発売された時もヘビロテでこの曲を聴いたけれど、アルバムのこの曲順で持ってくるのはずるい!否応なく、盛り上がる。RYUICHIのシャウトも胸を熱くする。ミュージックビデオもカッコイイ。文句のつけようのないロックな楽曲。
過去の作品で言えば『PRECIOUS…』や『WISH』の系譜に組する楽曲。ライブでも、終盤にかけて盛り上がる位置で演奏されることが多く、LUNASEAの引き出しの多さにひたすら打ちのめされるだけ。
ぜひ、大音量で聴いて欲しいです。
【『TONIGHT』MVを観るなら:LUNA SEA – 「TONIGHT」MV】
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11曲目『Crazy About You』
ラストを飾る『Crazy About You』、詩・原曲はともにJ、ロックバラードをLUNASEAの王道でいったような楽曲。「この曲で、最後なんだ・・・」と、当時は寂しく思いながらリピート再生していたことを思い出しました(25年前)。
記憶は不確かなのですが、たしか同時期に作成された『LOVE SONG』も収録される予定だったが、『Crazy About You』と曲調がかぶるので、『LOVE SONG』(終幕前)ラストシングルとしてリリースされたとか。
『Crazy About You』の歌詞全体と通して思うのが、冒頭に出てくる「天使を捕まえ届かぬ想いを伝えに行きたい」という歌詞は、SLAVE(ファン)に向けて歌われていると思われます。当時は思わなかったのですが、今、歌詞を読み返してみると「終幕によって、活動を止めてしまうことへの苦しさ」をSLAVE(ファン)に向けて訴えているようにも思えます。「熱を奪う乾いたこの都会」という歌詞が「LUNASEAとして活動を続けていく情熱を失いかけている」のかと、深読みしてしまいました(余談です)。
この曲も過去に何度かライブの大トリを飾っていますが、エンディングを締める上では名曲といえますね。
【『Crazy About You』の歌詞を見るなら:LUNA SEA Crazy About You 歌詞 – 歌ネット】
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さいごに
と言う訳で、LUNASEAを知るために「初めに聴くべき1枚目」のおすすめ作品として、『LUNACY』の収録曲を紹介してきました。
今回、久しぶりに『LUNACY』を聴き返してみましたが、名曲・良曲ばかりが並ぶ作品だと思いました。ですが、終幕前のLUNASEAの(ベストアルバム・ライブアルバムを除く)オリジナルアルバム作品のセールス(売上枚数)を確認すると『LUNACY』は必ずしも評価されている訳ではありません。
近年は、CDと言う媒体以外にも聴き方が多様化しているので、参考になりませんが、メジャーデビュー以降の作品と(セールス)売上枚数を見てみたいと思います。
- IMAGE 11.2万枚
- EDEN 22.0万枚
- MOTHER 71.3万枚
- STYLE 72.5万枚
- SHINE 123.6万枚
- LUNACY 28.5万枚
当時、河村隆一ブームで、にわかファンが増えた『SHIN』が最大セールスをたたき出すことは予想されました。ですが、この記事を書くまで『LUNACY』のセールスが振るわなかったとは知りませんでした。
やはり、ソロの河村隆一のイメージとLUNASEAのギャップに落胆したファンが多かったのかもしれません(今さらですが)。
ですが、セールスにかかわらず『LUNACY』のクオリティは高いと断言できます。「あの頃、聴き逃した」という方も含めて、『LUNACY』にふれて欲しいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。また、次の記事もよろしくお願いします。
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