先日、黒夢からメジャーデビュー30周年を記念して、2024年3月より、1年にわたってライブを行ってきた清春。黒夢のワンマンライブ「CORKSCREW A GOGO! SAINT MY FAKE STAR」の追加公演を2025年2月、無事に成功をおさめました。
昨年(2024年)には、アルバム『ETERNAL』も好評な清春ですが、彼を知るための入り口として「最初に聴くべき1枚」を紹介。今回は、5thアルバム『 FOREVER LOVE』を取り上げます。
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5thアルバム『 FOREVER LOVE』
『 FOREVER LOVE』は、2007年発売、5枚目となるオリジナルアルバム作品です。黒夢で5枚、SADSで5枚作品を残してきた清春として、ソロ作5枚目を「これまでやってきた感じを集めようと思った」と、作品の方向性についてインタビューで話されています。
リードシングル曲として『TATTOO 』、『輪廻』、『MELODIES』を含む、全13曲(通常盤には『PHANTOM LOVER』を収録)。アルバム発売後には、別アレンジで『愛撫』がシングルカットされました。
ご逝去された父に捧げる作品
歌詞の内容に関してもプライベートな場面を表現しているように、レコーディング中に亡くなれた父に捧げる作品となっています。父の病室での会話を綴ったと思われる『note』や、愛するひとの永遠の別離を感じさせる『輪廻』など、清春さん個人の内省的な想いと、死生観がつたわる作品となっています。
実際に、レコーディングが進行するにつれて、清春きさんのお父さまの病状も悪化していき、日々衰えていく中での作業は清春さんにとっても辛いものだったとインタビューで語っています。
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『PHANTOM LOVER』に込めた想い
通常盤にはボーナストラックとして、『PHANTOM LOVER』が収録されています。この曲は、黒夢のインディーズ時代に発表した『亡骸を…』に収録されている『亡骸を』のセルフカバーとなっています。
なぜ、この曲がセルフカバーとして収録された理由として、清春さんが黒夢というバンドを始めてからも父さんにはバンドの音楽性をなかなか理解してもらえなかったそうです。そんな父さんが、「初めてわかる曲があった」と、言ってくれたという曲が『亡骸を』だったそうです。そんな、過去の父とのエピソードを踏まえて収録されたのだと思われます。
また、このエピソードは『note』の歌詞にも歌われていますので、機会があれば歌詞にもふれてみてください。
【『note』歌詞を見るなら:『note』歌詞 清春 – 検索】
『 FOREVER LOVE』レヴュー
アルバムのイントロダクションともいえる、1曲目(SE)『receive a revelation』から始まります。ソロになってからのアルバム作品は、主にミディアムテンポを中心に作成されていて、激しさや速さだけで構成する楽曲はさけられている印象ですが、続く2曲目『予感』も、アップテンポが特徴でメロディーラインが秀逸です。ただ、『予感』というタイトルが表現するように、煌めきの時間が来るけれど、近い未来には…という暗示が歌詞からも見て取れます。
3曲目『confusion』も、アップテンポな楽曲ですが、黒夢時代の『spray』のような爽快感と疾走感だけでは無い、どこかしら重苦しさがまとっている印象を受けます。
続く、4曲目『愛撫』は、前半で一番盛り上がる曲で、清春さんのキャリアの中でみても、間違いなく「名曲」だといえます。「無意識の愛撫で、堕ちたなら生まれ変わるよね」と、歌われる歌詞をみても「黒夢時代のダークな印象を継承している楽曲」だと思います。
5曲目『note』は、先ほども紹介しました。アコースティックなバラードで父との思い出をふりかえる楽曲です。「笑ってくれた顔した思い浮かばない」と清春さんが歌うように、父との関係を想像させられます。「握り返した手は弱くて」と、父の病状の進行と「僕は止めたかった、でも変わらなかった」と変えられない現実に向き合いきれない想いがひしひしと伝わってきます。
中盤にかけて、重くてスローテンポの『妖艶』をはさみ、アルバムは終盤へと向かいます。
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7曲目『TATTOO 』(11thシングル)
『TATTOO 』は、中森明菜さんのカバー曲で、シングル初回限定版には特典として「TATTOO」ステッカーが封入されていました。付属DVDにはMVを収録。シングル曲とアルバム曲ではアレンジが異なります。
アルバムでは、原曲でもある中森明菜さんの楽曲の良い雰囲気を残しながら、ジャズとシャッフルのリズムに乗せて軽やかに清春さんが歌上げます。対して、シングル盤のアレンジでは、中期SADS『ポルノスター』の頃を感じさせるような攻撃的なアレンジに速さと重たさを音に乗せて歌い上げます。
個人的にはどちらのアレンジも好きで、今でも『TATTOO 』のMVを見返します。
【『TATTOO 』のMVを観るなら:kiyoharu-TATTOO(pv】
終盤にかけて
『TATTOO 』の余韻を残しながら、8曲目、清春節を活かしたロックン・ロール『allow』を畳みかけるとアルバムも終盤へ。9曲目「輪廻」、楽曲の製作段階では「輪廻」は早い段階で仕上がっていたらしく、「父の病気も良くなるのでは?」と言う希望を残していたと語ります。永遠の愛と、やがて来る別離の苦しさを表現した『 FOREVER LOVE』を代表する曲だといえます。
続く、10曲目『空白ノ世界』、スローテンポで、ヘヴィな歌詞の内容から読み解くと、病床で死を待つ父のことを書いた曲だと思われます。「決して恐れず、ただ時間を待つ」という歌詞からも、気丈な父親の姿を見てたと思います。一方で、運命に対して受け入れきれず混乱している清春さんの心情も読み取れます。「愛なんていらない、でも愛している…」と、二律背反な感情を歌いながら曲は終わりを迎えます。
11曲目『ever』、「服を着て、階段を下りて、暮らした家に帰ろう」と言う歌詞とは裏腹に、父親という存在は、生を全うし魂が肉体を離れていったことがうかがえます。それでも「意味はあったよ」と、歌う声は優しさに包まれています。終盤の10曲目『空白ノ世界』、11曲目『ever』と美しいメロディーに加えて歌詞の素晴らしさから、アーティストとしての底力を見せつけられます。
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12曲目『MELODIES -album version-』
ミディアムテンポに王道のメロディーライン、シングル曲として先行発売されています。この曲を12曲目に置いたことで、終盤の重苦しい雰囲気から一息つける感じがしました。ですが、歌詞の内容を見ると「深くため息混ざり合った空を仰いだら」と、憂鬱な雰囲気が伝わります。
そして、最後の曲『Lorelei』へと展開していきます。ソロになってから展開するような、『官能ブギー』で見せたような「グラムロック」な感じでかっこよく最後を締めてくれます。
さいごに
と言う訳で、清春を知るための入り口として「最初に聴くべき1枚」5thアルバム『 FOREVER LOVE』を紹介しました。やはり、過去の集大成として作り上げた作品でもあり、音楽のジャンルの幅が広いこと。パーソナルな歌詞と美しいメロディーラインで構成された秀逸な曲もあり、『亡き父に捧げる』作品としてコンセプトもある名盤だと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。機会がありましたら『 FOREVER LOVE』の楽曲にふれてみて下さい。
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