自伝作品『先生と私』を通して佐藤優を読む【誕生~高校入学まで】

佐藤優
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 「知の巨人」と言われる、佐藤優さんは過去の著書の中で、「小説を読むことで主人公の人生を『代理経験』ができる」と語っておられます。今回、自伝作品『先生と私を読んでいくことで、佐藤優を読んでみたいと思います

 佐藤優さんは、今までに何冊も世に作品を送り出しており、どの本も深い洞察力と幅広い知識を感じられる内容となっています。特に、宗教や哲学、地政学に関する幅広い知識を持ち、知見を活かして新聞や雑誌への寄稿、講演活動を通じて、現代社会の課題について鋭い視点を提供しています。

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 また、作品の中でもう一つの魅力として自伝作品ともいえるノンフィクション作品」を何冊か書かれています。今回、佐藤優さんの著書を通して、佐藤優さんの人生を代理経験してみたいと思います。

やびっちょさん
やびっちょさん

私も、佐藤優さんのファンで書かれた本はほとんど読んでいます。その中で「ノンフィクション(自伝)作品」について取り上げ、ご自身の人生を紐解いていきたいと思います。Wikipediaにも載っていない情報をお伝えします

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この記事を読んでわかること

この記事を読むことで以下のことがわかります。

  • 著書を通して佐藤優さんの人生が垣間見れます。
  • 佐藤優さんの思想・哲学への源泉がわかります。
  • 人生を通して学ぶことの意義が理解できます。

 今回、佐藤優さんが書かれた『先生と私』は、ご本人の誕生から高校入学までの時代が舞台となっています。著書を紐解きながら、佐藤優さんの人生を代理経験したいと思います。

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佐藤優さんのプロフィールについて

 『先生と私』の著書である、佐藤優さんのプロフィールにふれたいと思います。

 佐藤優さん(1960年生まれ)は、日本の作家であり元外交官です。同志社大学神学部を卒業後、同大学院で神学修士号を取得、当時、同志社大学から外務省に入省できたことは異例だったとされていました。入省は特にロシアや旧ソ連との外交に携わり、情報分析官としても活躍されています。

 2002年 (平成 14年)に、鈴木宗男氏に絡む疑惑が浮上したことに巻き込まれ連座する形で、 同年 5月14日に 鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕されます。また、同年7月3日、偽計業務妨害容疑で再逮捕されてしまいます。

 鈴木宗男事件に巻き込まれ、逮捕に至る経緯を書いたノンフィクション作品『国家の罠』はベストセラーになりました。また、背任容疑で逮捕・拘留された514日間、監獄という環境の中で読書と自身の気付きをノートにまとめた『獄中記』は、私の中で「ナンバーワンの読書論」です。この本で、佐藤優さんの思想・哲学の軸が形成されたと言っても過言ではありません。

その後、一審判決で執行猶予がついたことを機に、先ほども紹介した捜査の内幕や実情を描いた著書、『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』を2005(平成17)年に出版すると大きな反響を呼びました。同書などにおいて、佐藤優さんは自身にかけられた一連の容疑・判決を「国策操作」であると主張しています。

 この作品以後、佐藤優さんは、宗教や哲学、地政学に関する幅広い知識を持ち、知見を活かして新聞や雑誌への寄稿、講演活動を通じて、現代社会の課題について鋭い視点を提供しています。彼の人生経験と知識は、多くの人々にとって学びの源泉となっています。

やびっちょさん
やびっちょさん

 ご自身のライフワークもある「キリスト教神学」については、様々な論稿を出版されています。私も、影響を受けて「旧約聖書」や「新約聖書」だけでなく「カール・バルト」などの本にも挑戦しました。

 それでは、佐藤優さんの著書を通して人生の軌跡をたどってみたいと思います。

『先生と私』~誕生から幼少期、高校入学までを読む~

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 佐藤優さんの誕生から幼少期、高校入学までを書いた作品として『先生と私 (幻冬舎文庫)』を取り上げます。この作品は、後の異能の元外交官にして、作家・神学者である「知の巨人」佐藤優はどのような両親のもとに生まれ、どんな少年時代を送り、それがその後の人生にどう影響したのか?まさに、佐藤優さんの人生の誕生から学生時代を追うことで、氏の思想と行動の原点とその後に繋がる死生観を書くことになる自伝ノンフィクション作品となっています。

 私は、単行本で購入しましたが、現在は幻冬舎文庫から文庫本で発売されています。413ページと厚めな印象を受けますが、文体の読みやすさにあっと言うまに読み切ってしまいました。kindle版(電子書籍)としても発売されていますので、お手に取って読んで欲しい一冊です。

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佐藤優の誕生から

 佐藤優さんは1960年、東京都の下町出身でエンジニアの父と沖縄県出身、プロテスタントキリスト教徒の母との間に生まれます。優さんが生まれる前に長男を帝王切開で出産したそうですが、すぐに亡くなったと書かれています。

 当時、住んでいたご自宅には、ご両親の寝室に箪笥(タンス)があったそうです。その箪笥の中の「最上段の扉は開けてはいけない」と、言われていたそうです。ある時、優さんは、その箪笥の扉をあけて線香をあげるお母さんを目撃します。その奥に目を閉じた赤ん坊の写真がありました。「その写真に写る赤ん坊だれ?」という、優さんの質問に対して、お母さんは「一君と言って優君のお兄ちゃんなんだけれど、生まれてすぐに死んじゃったの」と告白されます。

 母は洗礼を受けたプロテスタントのキリスト教徒である。それだから、家に仏壇を置くことには抵抗があったのだと思う。しかし、沖縄にはトートーメー(位牌)と呼ばれる祖先崇拝の習慣がある。母は密かに疑似トートーメーを箪笥に作っていたのだ。その奥には一の骨が入った小さな骨壺が置かれていた。母がこの骨壺を手放したのは、僕が小学校4年生の時だったと記憶している。

引用:佐藤優著、『先生と私』7ページより

 お母さんの祖先崇拝とキリスト教徒との信仰心の間で、なくなられたお子様を弔う方法に対して葛藤もあったと思います。沖縄では、亡くなられると、あの世(グソー)で家族を見守るという「祖先崇拝」の文化があります。お母さまの中でうまく折り合いをつけて亡くなられた息子さんの安寧を祈っておられたのでしょうね。

 その後、帝王切開による出産の影響で「もう子供はできない」と、医師に言われていたそうですが、その後、優さんがおなかに宿ります。ご両親も当時は大喜びだったと思います。お父様はありとあらゆるコネを使って、母を日本赤十字社の本部産院に送ったと書かれています。帝王切開になるのでは?と、お母さまも覚悟していたらしいのですが、実際は自然分娩で生まれたのですが、やはり難産だったと本書では書かれています。

優少年、小学校6年生に本土復帰前の沖縄へ旅行にいく

 1972(昭和47)年5月15日、沖縄の施政権がアメリカから日本に復帰することになります。その前年6年生の夏休みに優少年は沖縄で過ごすことになります。復帰前なので、本土から沖縄に渡るためには身分証明書である「パスポート」が必要な時代でした。もちろん、当時の沖縄では「米ドル」が使われている時代でもあります。一年待てば、手続きも費用も安く済むはずですが、ご両親はあえて沖縄行きを勧めます

「今年は、夏の家族旅行はやめる。そのかわり、その分のお金を全部使って、優君を沖縄に行かせることにする。復帰前の沖縄の姿を自分の目で見ておいた方がいい。そうすれば、お父さんとお母さんが、沖縄で知り合った頃のことを、後で優君が大人になった時に想像することができる」

 引用:佐藤優著、『先生と私』17ページより

 実際に優少年の記憶力に驚嘆もしますが、自伝作品として経験が活かされていることを考えるとご両親の教育ぶりにも異能さを感じます。子ども教育に対してお金をどう使うか?は親である私も勉強になります。

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優少年、あさま山荘事件をテレビで観る

 1972(昭和47)年2月19日、猟銃を持った連合赤軍の活動家5名が長野県軽井沢町にある「あさま山荘」に押し入り、管理人の奥さんを人質にして立てこもる事件が起こります。小学校でも、毎日、「あさま山荘事件」のことが話題になります。

「この人たちは、親を殺してもいいと思っているのだろうか」

と、優少年は衝撃を受けます。担任の横野先生は、教室にあった旧式の白黒テレビ1チャンネル(NHK総合テレビ)をつけて、「あさま山荘」事件を子ども達に観せました

あの有名な、場面でもある、クレーン車から鉄球が振り子のように動き、「あさま山荘」の壁と屋根を壊していきます。優少年たちは息を飲んでその様子を見守ります。この事件では警察官2名と民間人1名が犠牲となり、全国で注目を集めました。テレビ中継の視聴率は89.7%に達し、日本社会に大きな衝撃を与えました

 1972(昭和47)年2月28日、機動隊の強行突入によって人質を救出し、犯人全員を逮捕しました。その日の夕食、佐藤家でも事件が起こります。

 お父さんが宿直の日で家にはいなかったと、優少年は記憶しています。食事の時に何を母や妹とと話したのかは覚えていませんが、食後に2階の勉強部屋に行こうとする、優少年をお母さんが呼び止めて詰め寄ります

「あんたが将来、過激派になって『あさま山荘』のような事件を起こしたら、お母さんは、あんたを殺して自分も死ぬ。これだけは覚えておいてね。沖縄戦で弾に当たったと思えばあきらめがつく。あのとき弾に当たってあたしが死んでいれば、あんたが生まれてくることもなかったんだから」

引用:佐藤優著、『先生と私』48ページより

やびっちょさん
やびっちょさん

戦中、戦後を生きぬいた日本人の強さと気迫を感じる場面でした。私なら「あんたを殺して自分も死ぬ」と、あやまった道を行こうとする子どもに対して、同じような言葉が言えるだろうか?と考え込んでしまいました。

 その後、優少年は高校進学に向けての準備として、老舗の名門塾「山田義塾」へ入塾します。

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優少年と山田義塾

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 中学校に進学し入塾試験を通過して、優少年はみごと「山田義塾」へ通うこととなります。その授業を通して読書の魅力にも取りつかれていきます。毎回、課題図書がコピーで配られ、その読書感想文を書くことになります。初回は、モーパッサンの『首かざり』。優少年は、ここで生まれて初めて小説を読んだと書かれています。

 翌週、山田義塾で国語の時間を楽しみにしていた優少年、先生は課題図書の『首かざり』のあらすじを配り、その紙に書きなさいと言ってホワイトボードに、

「要約」 と 「敷衍(ふえん)」 という2つの文字を書きます。

「文章は、内容を変えずに、伸ばしたり、縮めたりすることができる。短くすることを要約といい、長くする方を敷衍という。要約は、少し訓練を積めば、誰にでもできるようになるが、敷衍は難しい。いろいろな背景知識や、比較する他の文学の例を知らないとできません。高校入試問題でも、『要約せよ』という問題はたくさん出るけれども、『敷衍せよ』という問題はでない。しかし、大学になったり、社会に出てから、物事を敷衍する力はとても重要になります。」

引用:佐藤優著、『先生と私』58ページより

  そう、敷衍」する力というのは、引用部分でいう「背景知識」や比較対象となるモノの知識も必要になります。学校の先生では教えてくれない、塾の講師だからこそオリジナルで重要な概念も教わるのですね。佐藤優さんの著書でも、敷衍の概念は何度も出てきます。この頃の教えが活きているのかと考えさせられます。

 山田義塾での学びを通して、成績が伸びた優少年は、副塾長から浦和高校への進路を勧められます。

優少年、読書を通して哲学と神様にふれる

 勉強の面白さに目覚めた優少年は、塾でも成績がよい者を集めた「Cクラス」に進すみます。そのクラスの生徒の中には、難しい文学書や哲学書を読んでいる中学生が何人もいます。カミュの『異邦人』をよく読みこんでいる女子生徒と、阿部公房が好きな男子中学生が議論を交わすなど、国語の先生の授業を通して知的好奇心が満たされていったと書かれています。

 この時期にふれたと思われる書籍のタイトルをあげると、島尾敏夫『出発は遂に訪れず』ドストエフスキー『罪と罰』遠藤周作『沈黙』三浦綾子『塩狩峠』、など、早熟だなぁと私は思うのですが、当時は日常に本が身の回りになったのでしょうね(うらやましい)。

 そして、佐藤優が哲学を語るうえで取り上げられる名著、大井正/寺沢恒信著『世界十五大哲学 哲学思想史』(富士書店)と出会います。この本を通して、優少年は「神と哲学」への探究が始まります。

やびっちょさん
やびっちょさん

大井正/寺沢恒信著『世界十五大哲学 哲学思想史』は、現在はPHP文庫から復刊されています。佐藤優氏による「復刊によせて」を追加で収録。私も買って読みましたが哲学に対する理解が少しだけ深まりました。

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優少年、読書の沼にはまる

 1974年(昭和49)年に入り、優少年は塾の紛争から、新たな塾「早慶学院」に移ることとなりました。塾を移る決めてとなったのは「国語の先生」がいるからでした。山田義塾から別れた、副塾長や国語の先生を通して、優少年は読書の沼にはまっていきます。

 副塾長は、優少年に「本には読む順番がある」ことを説明します。

「佐藤君、本には読む順番がある。特に哲学や思想に関する本の場合がそうだ。ニーチェのような本をあまり早く読んではいけない」

「それじゃ、どういう本から読んだらいいんでしょうか」

「まず、デカルト、パスカル、カント、ヘーゲル、キルケゴール、マルクスなど、主流派のきちんとした哲学書を読むことだ。それからニーチェのようなわき道に入ればよい」

「ニーチェは脇道なんですか」

「明らかに脇道だ。ニーチェだけじゃないけれど、ニヒリズムと呼ばれている思想や哲学に触れるのは、他のきちんとした思想や哲学に触れた後だ。いきなりニーチェを読むと、これで世界全体がわかったという勘違いをしてしまう」

引用:佐藤優著、『先生と私』121ページより

 勉強以外にも読書の指南を受けられるとは、うらやましい環境だと思います。副塾長は、ニーチェから哲学に入ったので抜け出すのに時間がかかったと話します。

 そして、佐藤優の思想の一つともいえる、あの書籍と出会います。マルクス著、『資本論』です。副学長は、「マルクスとニーチェは同じ土俵に乗らない。しかし、言っていることは究極的には同じだ」と、優少年に説明します。

 「ニーチェもマルクスもこの世界に生きていることは苦しいと言っている。そして、ただ苦しいとぶつぶつ言うだけでなく、なぜそのような苦しさが生まれるのかについて説明している」と話します。

 「マルクスはその原因を社会の構造に求めるニーチェは、人間本来が弱い性格しかもっていないことに求める」と、ニヒリズムの核心について説明します。

やびっちょさん
やびっちょさん

当時、「この世界で生きていることは苦しいのか」と、同じ想いでマルクスを読みふけっていたことを思い出します。あの頃は、青くて若かったです(汗)

優少年、革命に興味を抱く

 正義感が強く政治に対する意識が強い、優少年は自分の知的好奇心を読書で育てながら、受験勉強にも余念がありません。目標としてる「浦和高校」も模擬試験では「合格確実」の判定をもらいます。

 受験勉強に少し余裕がでてきた優少年は、温厚で理性的な数学の先生がいった一言が気になります。

数学の先生
数学の先生

世の中をかえるには革命しかないよ

 革命とは、既存の社会秩序や政治体制を根本的に変革することを指します。通常、大きな社会的、経済的、政治的変動を伴います。

 国語の先生は、ホワイトボードに「易姓革命」と書きます。

※POINT:易姓革命(えきせいかくめい)とは、古代中国の儒教思想に基づく政治理論で、王朝交代を正当化するための概念です。天命を受けた天子が天下を治めますが、徳を失った場合、天命は別の有徳者に移り、王朝が交代するとされます。この「姓を易(か)える」ことから「易姓革命」と呼ばれます。儒教の徳治主義や天命思想と深く結びついています。

引用:Microsoft Copilot

 日本の場合は天皇制が続いているので王朝の交代はありませんので、日本では革命はなかったことになります。

女子生徒
女子生徒

明治維新とか、戦後の民主主義は革命ではないのですか

 革命であると説明する人もいますが、言葉の使い方からすると「維(これ)新(あらたまる)」というように王政復古として天皇の親政にあらたまるということになります。

 優少年は、大井正/寺沢恒信著『世界十五大哲学 哲学思想史』をひもときながら「革命」について、そのなかでも「社会主義」について探究していくことになります。

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優少年、進路に迷う

 その頃、浦和高校への受験が視野に入り始めた、優少年は「早稲田大学高等学院」を受験してみたいと数学の先生に相談します。「高等学院で何を学びたいのか?」と先生の質問に「ロシア語と社会主義について学びたい」と話します。

数学の先生
数学の先生

社会主義について知りたいのなら、マルクスを勉強することが大前提です。ロシア語よりドイツ語を勉強した方がいい。ロシア語は確かに難しい言語です。ただ、ロシア語を学ぶために高等学院を選択するのは間違えている。

 と、「早稲田大学高等学院」への進路に対して反対されます。

数学の先生
数学の先生

大学受験は経験した方がいい。受験勉強にそれほど大きな意味があるとは思わない。しかし、高校で勉強する内容は、その後の人生でとても役に立つ。早稲田大学高等学院に進むと、学部さえ選ばなければ、慶応大学に内部進学で進むことができる。そうなると高校時代に緊張感をもって勉強しなくなる

 と、諭されます。優少年の本心は「受験勉強よりも、小説を読んだり、哲学の勉強をしたいのです。大学受験に時間を取られるよりも、高校時代からもっときちんとした勉強をしたいのです」と本音を訴えます。

学問には手順がある。四則演算ができずに微分方程式を解くことはできない。ドイツ語の基本語彙や文法を習得せずにマルクスの『資本論』を読むことはできない。高校時代に勉強することの内容は、実質的に大学と学ぶこととたいして変わらないものも多い。ただし、高校では、丸暗記させられていたものを大学では論理的な道筋を尊重して学ぶことになる。いずれにせよ、高校時代に基礎的な勉強を怠ると、大学のに入ってから知識を伸ばすことができなくなる。

引用:佐藤優著、『先生と私』174ページより

 読書だけではなく、学問にも学ぶ手順があることを数学の先生から説明されます。ロシア語や社会主義について、少しでもはやく専門的な勉強をしたいと訴える優少年。元副塾長からも大学受験がある高校への進学を勧められます。

やびっちょさん
やびっちょさん

優少年は、ロシアの政治や思想について、いろんな本を読んでいます。「矯正労働法」について書かれた小説『イワン・デニーソヴィッチの一日』を読んでいたそうですが、偶然、私も文庫本で同じ本を読んでいました。

すったもんだの末、ご両親の説得もあり浦和高校への受験を決意することになります。

優少年、受験を終える

 浦和高校の受験を終えて、受験勉強のストレスから解放される優少年。同時に、試験の結果を必要に聞いてくる「早慶学院」の塾長に対して不快感を示します。結果を出して合格をすれば、早慶学院は「当塾から浦和○○名、浦和一女○○名」という広告を出すことができる。結局、僕たちは商品なのだと優少年言います。そんな、落ち込む優少年に、お父さんが声を掛けます。

「優君、それは仕方のないことだ。塾長には自分の性格がかかっている。優君が塾長にとって役に立つから、塾長は優君のいうことをたいせつにしたのだ。大人の社会はすべて、役に立つかどうかという基準で成り立っている。」

引用:佐藤優著、『先生と私』231ページより

 社会にでて、他人から必要とされる、軽く見られずに給料を稼ぐことができるのは人の役に立つからだと、お父さんは話します。優少年に技術職になって欲しいと思ったのは、手に職があれば、他人から軽く見られず「役に立つ」存在でいられるからです。

 一方で、お父さんは受験戦争に批判的でありながら、塾に通わせて良かったと、「早慶学院」の塾長に対する評価を優少年に話します。

「優君は早慶学院で元塾長や数学の先生と知り合った。元副塾長には、いつか自分で学習塾を作り、それを大きくして経営者として成功したいという野心がある。しかし、それだからといって、優秀な生徒を商品として活用するというような発想はない。元副塾長なりの教育への想いがあるのだろう」

引用:佐藤優著、『先生と私』232ページより

 また、優少年を支えてくれた数学の先生に対してお父さんは話します。

数学の先生は、ほんとうに頭がいい。ああいう人がほんもののエリートだ。自分に自信がある。だから、大学の先生になったり、大企業に勤めることにこだわらない。それから、自分が身につけた知識を優君のような若くて吸収力のいい生徒に伝えていこうとする。そこで金儲けをしようとは考えない。お父さんはああいう若者が好きだ。優君が大人になったら、あの数学の先生をお手本にするといい。そして、勉強したいという気持ちがある子供たちに自分の知識を伝えていけばいい」

引用:佐藤優著、『先生と私』232ページより

 つめ込み教育や受験戦争といった教育システムに批判的な意見を持ちながら、自分の子どもに対しては、意見を押し付けない姿勢に敬意を覚えます。同時に、子どもを支えてくれる先生たちの意思や想いを正確にとらえ、優少年に伝えようとするお父さんの視点は、学校で学ぶことができない「父親として息子に伝える大事な教え」だと読んでいて感じました。

 受験勉強のご褒美として「社会に対する視野を広げることも重要だ」と、伝えたうえで旅行のプレゼントを提案します。そこで、一人旅をするなら「北海道に行きたい」と優少年は伝えます。こうして、春休みに旅行へいくことになりました。

 そして、浦和高校の受験から一週間後に、優少年は「合格」を手に入れることになります

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優少年、北海道へ行く

 合格発表の夜、初めての北海道旅行に向かいます。目的地は、「塩狩峠」のそばにあるユースホテルです。優少年は、この機会に三浦綾子の『塩狩峠』を読み直そうとバックにしまいます。

 一晩かけて鉄道から青森に降り立った優少年は、青函連絡船から北海道に渡ります。「北海道周遊券」を船員に見せ、二等船室へと向かいます。船酔いにも苦しみながら函館港に渡り、最初の宿泊地「函館のユースホテル」へとたどり着きます。

 ユースホテルに泊まっている客のほとんどが大学生の中、食堂で男子学生と女子学生がギターを弾いて歌を歌っている。「何ていう歌ですなんですか」と、聞くと、井上陽水というフォーク歌手が作詞・作曲し、歌っている『東へ西へ』という歌だと答えが返ってくる。優少年も歌詞を見せてもらい合唱に加わります。

【「東へ西へ」歌詞を見るなら:井上陽水 東へ西へ 歌詞 – 歌ネット

 優少年の『東へ西へ』への感想を引用します。

 なんとも形容できない奇妙な歌だ。大学生になると、このような歌詞が心に響くのだろうか?「身動き出来ずに、夢見る旅路へ」とか「君はうれしさあまって気がふれる」とか何を言っているのか、意味がよくわからない。ギターを弾いている大学生に「どういう意味かわからない」と言うと、「意味がわからなくても、フィーリングとしてこれでいいんだ」と言われた。

引用:佐藤優著、『先生と私』232ページより

 翌朝、函館から札幌へ、急行「ニセコ2号」で向かいます。次の宿泊施設、「札幌のユースホテル」へ無事にたどり着きます。そこで出会った大学生も「井上陽水」を聴くというので、優少年は「函館のユースホテルで『東へ西へ』を歌ったと話します。

 その大学生は「『西へ東へ』もいい歌だけれど、僕は『傘がない』のほうが好きだ」と話します。優少年は、歌に関心がないが『傘がない』という歌はラジオ深夜放送で何度も聴いたと話します。「都会では自殺する若者が増えている」で始まるこの歌の歌詞が、優少年の頭の中で思い浮かびます。

【『傘がない』歌詞を見るなら:井上陽水 傘がない 歌詞 – 歌ネット

旅の目的地「塩狩峠」そして・・・

 優少年は、旅の目的地、「塩狩峠」へ向かいます。三浦綾子の『塩狩峠』にふれたことでキリスト教への信仰に対して向き合い始めます。高校生活だけでなくその先の大学への進路のこと、旅先で出会う大学生たちと関りをもったことで、未来に対する視野が広がります。

やびっちょさん
やびっちょさん

この先の「塩狩峠」のエピソードは優少年の将来を形成する思想のコアに迫っていく内容になっています。物語のハイライトでもあるので、ぜひ本書をあたって欲しいと思います。

 というわけで、ここまで優少年の誕生から高校受験までを追いかけてきました。この記事で取り上げた内容は、本著の一場面にすぎません。物語の構成力も高く、登場人物の魅力も奥深いので、ぜひ本書を読まれて欲しいと思います。

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旅のもうひとつの魅力について

 『先生と私』だけでなく、佐藤優のノンフィクション(自伝)作品の中で魅力のひとつが「食事風景の描写」です。読むだけでおなかが空いてしまいます。ここでは、番外編として「食事風景の描写」を取り上げたいと思います。

 場面は、旅の終盤「帯広駅」をでて、知り合った大学生とご飯を食べに行くところから始まります。

 ジンギスカン鍋は、韓国の焼肉に似ているという。網の上で焼く焼肉とはだいぶ違うようだ。

 このジンギスカン食堂は夫婦で経営しているようだ。おかみさんが野菜の皿と肉の皿を別々にもってきた。肉はタレに漬け込んである。野菜の皿に真っ白い脂肪がのっている。おかみさんがマッチでガスコンロに火をつけた。僕以外の5人は、ジンギスカン鍋の作り方をよく知っているようだ。鍋が熱くなったところで、脂肪を満遍なく塗りつけた。油の焦げた臭いがする。すぐに肉をのせるのかと思って見ていると、そうではないようだ。もやしを鍋の上に敷く。さらにその上に、キャベツ、玉ねぎ、人参のスライスをのせる。野菜にだいたい火が通ったところで、鍋の汁だまりに野菜を降ろす。

 そして、いよいよたれに漬け込んだ肉を鍋の上部の丸くなったところにのせる。ジューという音がして、肉が焼けるいい香りがする。肉を漬けているタレを野菜の上に適量かける。肉汁が汁だまりに流れていく。肉は生焼けでも、よく焼いてもどちらでもいい。自分の好みで食べる。野菜も焦げて真っ黒にならないうちに食べる。

引用:佐藤優著、『先生と私』291ページより

 旅行の楽しみは、その地のうまいものを食べることが一つの楽しみだと思います。優少年(のちの佐藤優さん)の筆力の高さが知れると思います。

まとめとして

 と言う訳で、最後までお読みいただきありがとうございます。佐藤優さんの言葉で「小説を読むことで主人公の人生を『代理経験』ができる」と語っておられましたが、今回、自伝作品『先生と私』を読んでいくことで、佐藤優を読んでみました

 マニアックな企画でしたが、今後、反響があれば、この後も作品を読み解きながら佐藤優の人生を読み説いていければと思います。

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おまけ:耳で聴く読書「Amazonオーディブル」とは?

 「最近、忙しくて本を読む時間がない」と、お悩みのかたも多いと思います。気になる本を見つけても、「本を持ち運ぶのがめんどう」や「買った本が棚に積まれている」などと「積読」になっている読書済みのかたも多いと思います。

 「教養」という言葉がブームを越えて必要なスキルになっています。スキルを磨くために移動時間や空き時間を「学びの時間」にしたいというビジネスパーソンや、コミュニケーション術を学びたい、プレゼンやSNSで自分の発信力を磨きたいとスキルアップを目標にされるかたも多いと思います。その中で「教養」を培う一番の方法が「本を読むという」行為が一番、おすすめだと言われます。

 歴史上の名のある人物の中には、文字は読めないが人に本を読んでもらって読書を通して素養を深めることを「耳学問」と言いました。現代の「耳学問」を、通勤途中や家事をしながらでも読書ができる環境がありました。

 そんなあなたにおススメなのが、Amazonが提供するオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」です。

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Audible(オーディブル)とは?

 Amazonが提供するオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」は、本の内容をプロのナレーターや俳優が朗読し、その内容を聴くことで「読書」を体験できるサービスです。

 カテゴリーも多数あり、ビジネス関係から自己啓発本、政治学・社会科学。他にも文芸ではフィクション・ミステリー・サスペンス・SF・ファンタジー・ライトノベルまで網羅。その他、歴史や宗教・スピリチュアル、絵本や児童書まで幅広く、12万冊以上取り扱っているのが魅力です。そのすべてが聴き放題となります。 

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「耳読書」Audible(オーディブル)を活用することのメリット

 ここでは、Audible(オーディブル)のメリットをお伝えしたいと思います。

※その①:ながら時間やすきま時間で「読書」を習慣化できる

 Audible(オーディブル)の特徴は「耳で聴く」読書だと説明しました。その特徴を活用して、電車通勤や車での移動時間、また家事をしながら「耳で聴く」ことで、読書が習慣化できます。

※その②:読書量がふえることでボキャブラリー(語彙力)が増える

 読書を習慣化することで「ボキャブラリー(語彙力)」が自然に増えることも大きなメリットです。文章を書く際に「言葉がみつからない」や、自分の感情や目の前で起こっている出来事を「言語化できない」など、「ボキャブラリー(語彙力)」が増えることで苦しみから解放されることまちがいなしです。

※その③:知識力が増えることで話題や会話に広がりが持てる

 同じく、読書を習慣化することで「知識量が増える」ことが挙げられます。知人や友人、仕事の関係者とのなにげない会話の中で出てくるトピックに対して、自分の意見がいえることは一目置かれる存在になれること間違いなしです。

 そのほかにも、読書を習慣化することで、たくさんのメリットがあると言えます。今風の言葉でいえば「読書は自分への投資」であり、すきま時間やながら時間で読書ができるので「コスパ良く教養を身に付けることができる」ツールがAudible(オーディブル)だと言えます。

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Audible(オーディブル)のシステムと料金プランについて

 改めて、Audible(オーディブル)のシステムと料金プランについて紹介します。

  • 30日間の無料体験が可能
  • 無料体験後は月額1500円で聴き放題
  • いつでも退会可能です
  • Wi-Fi環境でダウンロードすれば、通信量もかかりません
  • プロのナレーターや俳優が本を朗読
  • 0.5倍速~3.5倍速まで、朗読の再生速度を調整可能です

時期によっては、キャンペーンや特典なども展開していますので確認してみてください。

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利用するにあたっての注意点について

 Audible(オーディブル)サービスを利用するにあたっては、注意もありますので併せてご確認ください。

 支払方法が「クレジットカード」及び「デビットカード」のみの対応になります。支払い方法に関しては改めてご確認をお願いいたします。

 また、利用にあたってはAmazonアカウントの作成が必要になりますので、案内に沿ってアカウント作成をお願いいたします。

 作品の中には一部ではありますが「別途購入が必要」になるものもあります。そちらもご確認とご注意ください。尚、単品購入されたタイトルは退会後も聴くことができます。

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最後のさいごに

 と言う訳で、Audible(オーディブル)の魅力とメリットや利用するにあたってのシステムの全容と注意点を紹介してきました。

 特に、私がAudible(オーディブル)を特に紹介する理由として「読書好きを一人でも増やしたい」と言う想いと同時に、「知識が増えることで見える世界が広がる」と言う体験の素晴らしさを、一人でも多くの人に伝えたくて記事を書きました。

 さいごまでお読みいただきありがとうございました。また、次の記事でお会いできるのを楽しみにしております。

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やびっちょさん

【名前】やびっちょさん
【経歴】独立型の居宅介護支援事業所を立ち上げ代表として運営しています。
【資格】主任介護支援専門員・社会福祉士・介護福祉士・住環境コーディネーター2級・産業ケアマネ2級・終活カウンセラー2級
【趣味】読書と音楽鑑賞。年間200冊は読みます。歴史小説や思想哲学、自己啓発本をつまみ食いしています。
※プロフィール画像は娘(6)作

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佐藤優読書
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