社会にでて、誰もが一度は思うことがあると思います。「疑問に対して、必ずしも答えが準備されているとは限らない」という現実にどう対処すれば良いか?
「上司の理不尽な指示に対して従うべきか」や「自分はこのままこの人と結婚をしても良いのだろうか?」などと、答えがでない問いに直面することもあると思います。
答えがでない「問い」を問い続けることを「探究」といいます。人は、なぜ勉強をするのか?という問いを突き詰めると「探究」に行き着きます。

今回、「西岡壱誠著、読んだら勉強したくなる東大生の学び方」をテキストに、「国語編」、「算数・数学編」、「社会(歴史)編」とご紹介してきました。今回は最終回となります「探究編」をお送りしたいと思います。
この本を読めばこんなことがわかります。
- 正解のない問を考えることができます
- 私たちはなぜ勉強するのか?がわかります
- ネガティブケイパビリティという概念にふれます
探究とは、「未知の問いや課題に対して、答えを模索し、自ら考え、試し、発見するプロセス」を指します。このプロセスは単なる知識の収集とは異なり、「自分で答えを見つけ出す」という主体的な行動が求められます。
特に、大学での学びは「正しい答え」を探す学問では無く、「学びたいことを勝手に学ぶ場所」であり、「どんな勉強をするか」は自分で考えなければいけません。もちろん、社会に出てからも「探究」は続きます。自分で問いを見つけだし、考えぬく力を養うことはビジネスパーソンにとっても必須な条件だと言えると思います。

今回は、最終回「探究編」をお送りします。学びの楽しさがわかるような記事が書ければと思います。私も社会に出てからも、毎月30冊以上の本を読んで学んでいます。本を読むたびに解らないことが増えていく楽しみを共有できれば幸いです。
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著書の西岡壱誠さんのプロフィールについて
西岡壱誠(にしおか いっせい)さんは、1996年3月13日生まれの日本の著作家です。東京大学経済学部に在学中であり、現役東大生作家としても活動しています。進学後は、家庭教師としても活動するほか、「現役東大生作家」として多数の著作を執筆しています。
さらには、テレビにも活動の場を広げており、日本テレビ「スッキリ」への出演や、2021年TBS日曜劇場「ドラゴン2」の監修を努めます。フジテレビ「土曜プレミアム・さんまの東大方程式」への出演など様々な活躍をされています。
YouTubeチャンネル「スマホ学園」を開設し、2020年6月に自身が代表取締役社長を務める株式会社カルペ・ディエムを設立しました。
YouTube「出版区」で話題に
YouTubeチャンネル「出版区」で、西岡壱誠さんが参加しました。『【永野VS東大】「最後は人間力が才能を上回る」勉強嫌いな2人が現役東大生に物申す!?【永野・鷹村の詭弁部、はじめました!#10】』の会が好評で、一気に本著が周知されたと思います。
「永野・鷹村の 詭弁部、はじめました!」は永野、鷹村彩花さんが、自身の意見・立場を詭弁を用いて忖度なく言い合うトークバラエティになっています。「勉強はする意味があるのか?」をトークテーマで討論を繰り広げています。
2025年3月時点で、9.7万回再生されており、コメント欄も概ね好評です。私もこの回をみて本書を買いに書店に走りました(笑)。
※【永野VS東大】「最後は人間力が才能を上回る」勉強嫌いな2人が現役東大生に物申す!?【永野・鷹村の詭弁部、はじめました!#10】より
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なぜ「正解のない問い」を考えるのか?
今までのおさらいになりますが、小学校の勉強では「算数(数字)」や「国語(ことば)」など、私たちの世界を取り巻く基本的な概念(考えかた)を学びます。
中学校や高校に上がると「算数」が「数学」に名称が変わり、「国語」は「古文」が加わり、「社会」には「歴史」や「公民」が増えるなど、分野が広がり内容が深くなっていきます。
ですが、高校までの勉強は、あくまで「答えがある問い」であり、設問に対して「正しい答え」を解答するプロセスが学びの基本だと言えます。
大学に進学すると「学びかた」が変わります。「答え」を見つける学びから「問い」そのものモノを見つける学問へと変わります。そこには「正解」がない問いが立ちはだかります。

それでは、正解のない問いを考えてみましょう。本著、「西岡壱誠著、読んだら勉強したくなる東大生の学び方」の解説とは違う考え方をしたいと思います。
Q:足が速くなるためにはどのような訓練を積めばいいと思いますか?
「西岡壱誠著、読んだら勉強したくなる東大生の学び方」180ページより
「問い」に間違いはない「解釈」の違いがあるだけ
設問の「足が速くなるためにはどのような訓練を積めばいいと思いますか?」という問いに対して、本著では、「足が速いとはどういう状態なのか?」という「解釈」から、いかに足を前に出す回転数を上げるか?(ピッチ)×歩幅を増やす(ストライド)という掛け算式を導入しました。
ここで、自己解釈をすると「足が速くなるためにはどのような訓練を積めばいいと思いますか?」という問いに対して「足が速くなるためには」という疑問と「どのような訓練を積めばいいと思いますか?」とふたつに分けても考えてみます。
例えば、そもそも「足が速い基準とは?」という解釈から、「短距離走なのか?」、「中距離走なのか?」、「それとも長距離走なのか?」という解釈まで、それぞれの距離の平均タイムを割り出すところから広げても面白いと思います。
また、「短距離で速く走るための訓練」を考える。「中距離で速く走るための訓練」や「長距離で走るための訓練」は同じではないと思います。それぞれの訓練法を考える(プレゼン)できる道筋をつけられると面白いと思います。
※POINT:そう!大事なのは解釈という違いだけで「おもしろい」という発想が大事。
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私たちはなぜ勉強するのか?
前節で、「問い」を追求することに間違いはない「解釈」の違いがあるだけと説明しました。よいよ本著も終盤です。集大成として西岡先生からの最後の問いです「私たちはなぜ勉強するのか?」と、いう疑問です。
本著では、「人間は悩む生き物で、悩むことを楽しめる生き物なんだと思う。そして、勉強するっていうのは、その悩むということに答えを出す訓練をするってことだ」と説明します。

その答えを考える時に、勉強して得た知識は役に立ちます。知識は視野を広げます。また、他人の考えに対して寛容にもなれます。正解のない問いを考える経験があなたの人生に活きてくると思います。
※POINT:「正解」はないけど、「答え」を出すことはできる。自分なりに考えて、「自分としては、正解かどうかはわからないけれど、これが答え」ってものを考えることはできる。

ネガティブケイパビリティという概念にふれてみる?
ここまでお読みいただきありがとうございました。「探究」について考えることは「正解」の無い問いに対して考え続けることができる力を養うことだと説明してきました。
ここでは、『「正解」の無い問いに対して考え続けることができる力』に対して、「箒木蓬生著、ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力」を参考テキストに、もう少し踏み込んで考えたいと思います。
まずは、「ネガティブケイパビリティ」とは何か?について簡単にふれてみます。
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答えの出ない事態に耐える力
ネガティヴ・ケイパビリティ(負の能力もしくは陰性能力)とは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処のしようのない事態に耐える能力」をさします。
あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」をさします。
能力と言えば、通常は「何かを成し遂げる能力」のことに対して使われる言葉です。何かを処理する、問題解決能力ではなく「そういうことをしない能力」ことこそが、ネガティヴ・ケイパビリティ(負の能力もしくは陰性能力)の醍醐味だと話します。

少し、内容が難しくなってきましたね。この概念(考え方)は精神科用語として確立された歴史があります。今、しばらくお付き合いください。
わかったつもりを止める
ヒトの脳には「分かろうとする」生き物としての方向性が備わっていると言います。よく、親が子どもに対して「なんで?こんなことをしたの?」と、叱るとき、「子どもの行動やその意味を親は理解できない」から不安になるわけです(経験があるかたは思いかえしてみてください)。
一方で、さまざまな社会状況や自然現象、病気や苦悩に対して「意味を見つけよう」とします。そうすることで「理解」し「分かった」つもりになれる訳です。
ところが、安易に「分かった」つもりの理解が、ごく低い次元にとどまってしまい、より高い次元にまで発展しないと言います。「分かったことをあえて考えたくない」のが人の習慣だからです。ましてや、その理解が誤っているとなると悲劇はさらに深刻になってしまいます。
※POINT:「分かる」ための究極の形が「マニュアル化」することだと言います。マニュアルがあれば、その場に展開する事象は「分かった」モノとして手順化され、対処法も定まります。対応に困らないために「マニュアル」は存在する訳ですね。
わからなさに耐える力を養うことで「ふんばる力」がつく
私たちにとって、わけの分からないことや、手の下しようがない状況は不快です。ですが、私たちの生きる日本でさえも長引く不況や政治的混乱、そんな社会に対して答えのでないことばかりで溢れています。
だからこそ、ネガティヴ・ケイパビリティが重要になってくるのです。私自身、この能力を知って以来、生きるすべも、精神科医という職業生活も、作家としての創作行為も、ずいぶん楽なりました。いわば、ふんばる力がついたのです。それほどこの能力は底力を持っています。
引用:「箒木蓬生著、ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力」10ページより
もっと、ネガティブ・ケイパビリティについて知りたいという方は「箒木蓬生著、ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力」をあたってみてください。「西岡壱誠著、読んだら勉強したくなる東大生の学び方」を読んだうえで、本書にふれると理解が深まります。
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さいごに
最後までお読みいただきありがとうございました。「西岡壱誠著、読んだら勉強したくなる東大生の学び方」について、4回に分けて解説してきました。最後は、「箒木蓬生著、ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力」にふれることで、「探究」を深堀しました。
ここまで読んで下さったかたの、知的好奇心に少しでもふれれば幸いです。又、次の記事もよろしくお願いします。
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