
教養の一つとして「世界史を学びたい」と思うけれど、何から読めばいいか迷っていませんか?
2025年、世界の秩序は大きく変わりつつあります。世界情勢やニュースの背景を深く理解するために「教養としての世界史」が注目されています。国際状況をみても、ロシア・ウクライナ戦争やガザ戦争に対して終結の道はいまだに見えません。アメリカ国内でもトランプ大統領の登場で、政治や思想面で分断が深刻化しています。
そのような、世界情勢の混迷を一から理解するために、世界史は必須の科目だと言えます。なぜなら、国や文明、民族、宗教、経済といった広い視点で物事を捉える力を養える必要があります。こうした中で役立つのが、過去の歴史を学び、思考の鋳型(いがた)を知ることです。
世界史を学ぶにあたっては、専門的すぎる本や分厚い学術書はハードルが高いもの。そこで本記事では、初心者でも楽しく読める「世界史の入門書」や、教養としておすすめの読み物系世界史本を厳選して10冊ご紹介します。ストーリー仕立てでわかりやすいものから、図解で視覚的に学べるもの、世界を広い視野で捉え直す話題のベストセラーまで幅広く網羅しました。
目的や関心に合わせて、自分にぴったりの1冊がきっと見つかるはずです。世界の流れを物語として楽しみながら、教養と知識を深めてみませんか?
世界史を「教養」として学ぶ魅力とは?
「歴史は人間の教師である」これは、古代、共和制ローマ末期の政治家マルクス・トゥッリウス・キケロ(キケローで有名です)の言葉です。世界史を教養として学ぶことは、過去の出来事を知り、今の世界をより深く理解するための土台となります。キケローの言う通り、歴史は人間の教師だということがわかります。
また、近年は新しいテクノロジー(特に生成AIと言われる人口知能)の普及によって世界はどう変わるのか?誰も予測がつきません。シンギュラリティはいつ起こるのか?AIによって私たちの仕事はAIに奪われてしまうのか?など、答えの出ない先の未来に対して歴史は道筋を示してくれます。
過去の歴史を理解することで、未来への指針をつかめる可能性を秘めています。例えるなら、AIが登場した現代社会は、紙の発明と印刷機の普及が進んだルネッサンス期15世紀の西洋世界状況と類似していると言えます。

私が、実際に読んだ本の中から「世界史への理解が深まる本」を中心に紹介します。「え?この本も世界史の本なの?」と言うような書籍も紹介します。
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世界史を学ぶ理由とは?
今、世界史を学ぶ必要があるのでしょうか。その答えは、日々報じられるニュースの背景にあります。中東情勢、ウクライナ侵攻、移民問題、経済制裁——これらはすべて歴史的な背景と深く結びついています。
歴史を知らなければ、なぜ国家間の対立が続いているのか?宗教的な対立が政治状態に与える影響とは?など、一見すると無関係に見える出来事が世界を動かしていることを理解することはできません。
世界史を学ぶことで、出来事の「今」だけでなく「なぜ」が見えてきます。それは、すべての原因は○○のせいだ!などと、原因を一つに集約してしまう「陰謀論」などと言った偏見をなくし、世界を多角的に見る力を育てる第一歩でもあるのです。
世界史入門書を選ぶメリット
世界史の入門書を選ぶ最大のメリットは、知識ゼロからでも無理なく学べる点にあります。難しい用語や年代にとらわれず、物語のように歴史の流れをつかめる構成が多く、読書の延長として楽しめるのが魅力です。
専門書にはない親しみやすさがあり、「学ぶこと=面白い」と実感しやすいのも特徴。さらに、登場人物や事件の背景を知ることで、普段のニュースや映画、旅先で訪れる観光地の見方も変わってきます。世界を広い視点で見るきっかけとして、入門書は教養の第一歩にぴったりです。
世界史のおすすめ入門書・教養書10選【2025年最新版】
世界史を学びたいけれど、どの本から始めればいいか迷う方も多いはず。難解な専門書ではなく、ストーリーとして楽しめる本や、図解でわかりやすい入門書を選べば、初学者でも無理なく学べます。
本記事では、教養として世界史を学びたい人のために、2025年最新版のおすすめ書籍を10冊厳選。初心者向けの通史から話題のベストセラー、図解・ビジュアル本まで、読みやすさと内容の深さを兼ね備えた名著をご紹介します。
1冊目:『世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方』
世界史への入り口として、気軽に読める新書本からチョイスしました。橋爪大三郎・佐藤優共著、『世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方』を一冊目に取り上げます。
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近いうちに、「世界史の分岐点」が訪れる。日本も世界も、その激動に呑み込まれるだろう。避けることはできないと、本書では説きます。その中で、将来を見通す知恵とは「創作」である。創造的努力であると橋爪大三郎先生の談話から本書は始まります。
一方、佐藤優氏は、ポスト・コロナ禍以降の世界構造も大きな変化を遂げている。その変化は主に2つの面で見られる。第一はグローバリゼーションに歯止めがかかり、国境の壁が高くなったこと。第二に格差の拡大を挙げています。
この本は、2021年1月に初版が発売されました。2025年5月現在、奇しくも、トランプ関税がニュースを賑わせ「報復関税」とばかりに国家間の壁が高くなっていることからも、二人の見識に裏打ちされた予測性の高さを証明しています。格差に関しては、物価高騰の問題を挙げるだけで納得されると思います。
著書名:世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方
著者名(出版社):橋爪大三郎・佐藤優(SB新書)
出版年:2022年1月15日(初版)
対象読者(一般教養層/学生など):世界情勢に興味を持つビジネスパーソンや受験生など
特徴・おすすめポイント(☆☆☆)
本書が対談形式なので、読み進めやすく理解が深まる内容となっています。お互いに敬意を示し、議論を深めようと知識のやり取りが知的好奇心を喚起します。下世話な言いかたをすれば、頭の良い人たちの議論を観れる(読める)ことの幸せを感じれる一冊と言えます。
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2冊目:『「19世紀」でわかる世界史講義』
二冊目は、日本を代表するマルクス学者、的場昭弘著、『「19世紀」でわかる世界史講義』です。結論、この本を一言でいうと「中世から近世、産業革命を経て、現在の世界勢力図が形成されいく過程が書かれた」本だと言えます。
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具体的に言うと、「世界史」とは、19世紀の資本主義が生み出した西欧中心の歴史観であり、世界の歴史はすべからく西洋の歴史を追わねばならないという西洋的価値観を体現しています。本書はなぜこうした「世界史」が生まれたのかを16世紀の西洋の発展の始まりまで遡って述べています。
第一部は、19世紀以前の西洋が世界に君臨するようになる過程と自負を述べ、第二部は西洋が世界に君臨し世界を従属させていく過程について語ります。こうした西洋の自負を生み出したものこそ、西洋で誕生した「資本主義」です。世界史という概念は資本主義と共に始まったと言えます。
本書は、神奈川大学市民講座で一年を通して行われた講義の内容をまとめた本となっています。一年に渡った講義の内容に沿って本が構成されているため、本の分量は厚みがあり読む人の意思を削ごうとします。ですが、読み始めると文章じたいがとても読みやすく、歴史の流れをつかみやすい内容となっているので一気に読み進めることができます。
現代は、自然破壊による環境汚染や、戦争さえもビジネスにすることで、人の命がお金より軽い時代を生きています。たとえ戦場に出なくても、格差や貧困といった現状は私たちの日常にありふれています。今の世界を作った根源を知りたいという方にお勧めの一冊です。
さらに深く学びたいかたのための『世界史』
正面から、もっと深く世界史と向き合いたい方に、ウィリアム・H・マクニール著、増田義郎、佐々木昭雄訳『世界史(上・下)』(中公文庫)をお勧めします。
世界で40年あまりにわたって読み続けられているマクニールの「世界史」最新版完訳。人間の歴史の流れを大きく捉え、独自の史観で鮮やかに書いています。
世界の文明の流れをコンパクトにわかりやすくまとめた名著で、その背景と脈絡を知ることで歴史のダイナミズムを描き出しています。西洋文明の興亡と変貌まで、地球規模によるコスモポリタニズムを解説しています。
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書籍名:「19世紀」でわかる世界史講義
著者名(出版社):的場昭弘(日本実務出版社)
出版年:2022年7月1日(初版)
対象読者(一般教養層/学生など):近代史を一から学びたいと思うかたが対象
特徴・おすすめポイント:(☆☆☆☆)
世界史を学ぶと、場当たり的に起こった出来事だけを羅列するのが世界史のイメージですが、中世から近代、そして現代へと続く流れを時系列に書かれているので、しっかり読み込めば世界史の授業を受ける以上の知識が得られると思います。この後、20世紀編、21世紀編と続きます。21世紀編では、コロナパンデミックへの解説など、世界史が身近な問題として実感ができると思います。私は、「19世紀編」→「21世紀編」→「20世紀編」と読み進めました。
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3冊目:『会計の世界史』
三冊目に紹介する本は、田中靖浩著、「会計の世界史」を取り上げます。この本は一言でいうと「会計学に出てくるような専門用語や数式も必要なく、ファイナンスの歴史と仕組みが学べる一石二鳥の本」だと言えます。イタリアの帳簿から始まった会計の冒険は、決算書を通してファイナンスへと至る成長の旅路でした。
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「会計の歴史」というと、細かい数字や計算式ができた経緯を紹介した本だと思いがちですが、特徴は次の二点になります。
- 会計の歴史を物語として表現したことで読みやすく理解が深まります
- 簿記、会計、ファイナンスの全体を紹介したことで会計の概要がわかります。
著書、『会計の世界史』でも、「旅のはじめに」で以下のように紹介されています。
簿記を勉強している人のほとんどは、簿記がイタリア発祥であることを教わらず、経理担当者は減価償却が鉄道会社から始まったことを知りません。公認会計士や税理士でもディスクロージャーの始まりに「JFKのお父さん」がかかわっていることを知る人は少ないはずです。
引用:「会計の世界史」4ページより
世界史の流れを汲みながら、会計の全体像を俯瞰できる内容になっています。経理担当者以外のビジネスパーソン、特に経営者に必要なのは細かい処理を学ぶことではありません。
大事なことは、「会計のルールや概要、仕組みが存在することの意味を知る」ことの方が重要なはずです。歴史的な学びは、きっとビジネス上の理解にも役立つことでしょう。
『帳簿の世界史』
会計の歴史に興味をもったかたにおすすめな一冊。J・ソール(村井章子:訳)著、『帳簿の世界史』もご紹介します。歴史の裏には全て、帳簿を駆使する会計士の存在があった。
思想の巨匠「アダム・スミス」や、大著『資本論』を書いた「カールマルクス」、社会学の始祖「マックス・ウエーバー」などなど、先人たちが口をそろえて主張していたのは「帳簿の力」だった!
なぜ、スペイン帝国が栄え、そして没落したのか?なぜ、フランス革命が起き形骸化したのか?アメリカの独立が成功したのはなぜか?その答えに「帳簿」という補助線を引いた、歴史的名著を読む意義はあると思います。
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書籍名:会計の世界史
著者名(出版社):田中靖浩(日本経済新聞出版)
出版年:2018年9月25日(初版)
対象読者(初心者/一般教養層/学生など):お金の教育の必要性がアナウンスされる時代にどなたでも気軽に読める一冊だと言えます。
特徴・おすすめポイント(☆☆☆☆)
歴史好きな人の特徴に「物ごとの起源を知りたがる」人が多いように感じます。この本は、まさしく「お金について」の起源を学べる一冊だと言えます。同タイトルのマンガ版も併せて読むことで理解はグッと深まります。
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4冊目:『新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論』
四冊目に紹介する本は、小林よしのり著、『新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論』を取り上げます。この本を一言でいうと「中国、アメリカ、韓国、周辺諸国からの攻撃(口撃)から日本の名誉を守るための真実が書かれた本」だと言えます。
え?この本も世界史の本なのと、思うかたもいらっしゃると思います。ネット右翼の生みの親とも言われた『戦争論』がベストセラーの小林よしのりさんの「新ゴーマニズム宣言SPECIAL」シリーズとして姉妹本となります。
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「新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論」は今から、17年前に発売されて未だに文庫化されず、いまだに版を重ねています。当時、読んだときには実感がわかなかったことも今、改めて読んでみると身近に迫る危機として読める内容となっています。
具体的に解説すると、中国について書かれた「攘中編」で、漫画の中で小林よしのりは言います。
戦争は武力を使わずに行うことができる。
武器・弾薬を使うのは戦争の一つの形態に過ぎない。
情報による扇動や脅しもすでに戦争なのだ
引用:「新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論」~60ページより~
新聞やテレビと言ったマスコミが、中国・韓国およびかつての戦勝国からの情報を、批判もせずに詳しい検証もなくマス(大衆)へ流れていきます。
こうやって日本独自の文化・伝統を崩壊させていくのも一つの戦争の形態なのだ。
これをアイデンティティー・ウォーという!
引用:「新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論」~61ページより~
ここで詳しい内容は控えますが、「台湾有事」が明日にも起こるかもしれない世界状勢、観光問題(いわゆるオーバーツーリズム)や外国人移民問題と言った様々な問題に対して、現代のニュースや出来事を報道を通して観ていると、「新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論」で書かれている問題提起はあながち否定はできないと思います。

私は、特に偏った思想信条を持ち合わせていませんが、いろんな本を読むことで色々な角度から歴史をみる視点を養えると思います。小林よしのりさんの本は、「日本の名誉を守るための真実が書かれた」本として読む価値はあると思います。
書籍名:新ゴーマニズム宣言SPECIAL平成攘夷論
著者名(出版社):小林よしのり(小学館)
出版年:2007年(初版)
対象読者(一般教養層/学生など):漫画形式で書かれていますが、薄っぺらい本とはくらべものもならない文字数にびっくりすると思います。ある程度、世界史の歴史を知った上でこの本を読むと、世界史の違った見かたが出来ると思います。
特徴・おすすめポイント(☆☆☆☆)
著書の小林よしのりに対して、様々な批判や偏見があるかたもいると思います。あえて、批判的な視点で読み進めるのも良し、素直に読むのも良し、自分の知識や経験、思想信条によって読み方が変わる本だと言えます。
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5冊目:『ゲームチェンジの世界史』
五冊目に紹介する本は、神野正史著、『ゲームチェンジの世界史』を取り上げます。この本を一言でいえば「AI社会が到来するであろう今だからこそ読むべき本」と言えます。従来の枠組・常識・ルールがまったく通用しなくなることを「ゲームチェンジ」と表現しています。
「農業」や「鉄器」、「一神教」と、新たな常識や文化発明によって人類は大きく進化を遂げました。一方で、常識の変化に乗り遅れるもの、変化自体に気がつかない・変わらないモノたちが世界史から姿を消していきました。
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日本人論として、これまで読み継がれた本の中で、司馬遼太郎著、『この国のかたち』があります。その本の中で「日露戦争の勝利が、日本国と日本人を調子狂いにさせたとしか思えない。」と、振り返っています。
ソ連の近代陸軍として実装された環境に対して、日本陸軍は「元亀天正の装備」と表現するくらいのお粗末な装備でノモンハンと戦ったと言います。まさに日本軍が「近代戦」というルールチェンジに乗り遅れた左証と言えるでしょう。
そして、いま2025年の現在、生成AIはめまぐるしい発展を遂げて、今日できないと思われていたことが明日にはAIが出来るようになる時代を迎えています。この「AI」という常識(ルール)をとらえ乗り越えることが出来るか?が「ゲームチェンジ」の鍵となるでしょう。
この記事の冒頭で、AIの発展とシンギュラリティを近い未来に迎える今を、「現代は紙の発明と印刷機の普及が進んだルネッサンス期15世紀の西洋世界と類似しています」と解説しました。この類似性に気がついたのも、『ゲームチェンジの世界史』第9章「活版印刷と宗教改革」が行った時代と重なる部分が多いと感じたからです。
気になる方はぜひ、一度この本を手に取って詳細を確認してみて下さい。新たな時代を創った15の非常識が世界史を創ったのだと理解できるはずです。
書籍名:ゲームチェンジの世界史
著者名(出版社):神野正史(日本経済新聞出版社)
出版年:2022年(初版)
対象読者(初心者/一般教養層/学生など):世界史の流れを知らなくても「ルールチェンジ」というキーワードを元に面白く読める内容となっています。初心者から世界史に詳しい方でも楽しんで読める内容となっています。
特徴・おすすめポイント(☆☆☆☆☆)
新たな時代を創った非常識ー休戦期を終わらせた「鉄器」の存在。-国の在り方を変えた「騎馬」の登場。ー消費社会を生んだ「産業革命」による光と影。大きな常識の変化によって歴史のうねりが解る一冊となっています。
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6冊目:『逆説の世界史』
六冊目に取り上げる本は、井沢元彦著、『逆説の世界史』です。大ベストセラー「逆説の日本史」の著者でもあります、井沢元彦先生の新たなライフワークを取り上げます。
この本を一言でいうなら「宇宙人の視点から、地球とその歴史をみた本」だと言えます。え?宇宙人の視点ってどういうこと?と思うかもしれません。具体的に言うと、世界史は、民族や宗教・イデオロギーによって、また国や時代背景によっても歴史の書かれかたは違ってきます。
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例えるなら、キリスト教世界がイスラム世界に挑んだ「十字軍」もキリスト教世界から見るか?イスラム教世界から見るか?見る側の視点によって、ひとつのひとつの事象も違った解釈になると思います。
歴史学は「キリスト教世界」の学者が書いた歴史を「ヨーロッパ史」、「イスラム教」の立場から書かれた歴史を「イスラム史」と、専門別に分かれて書かれています。「日本史」や「ヨーロッパ史」、「イスラム史」と分けて考えると、狭く専門的にはなりますが比較検証ができなくなります。
井沢元彦さんは「世界史」はなく「地球史」として、国家や民族、宗教やイデオロギーを超えた「宇宙人の視点」で世界史を書かれています。
残念ながら、『逆説の世界史』の刊行が三巻までになっており、続編が待ち遠しいです。「逆説の日本史」と併せて続編を楽しみに待ちたいと思います。
書籍名:逆説の世界史①~③
著者名(出版社):井沢元彦(小学館)
出版年:2014年(初版)
対象読者(初心者/一般教養層/学生など):「逆説の日本史」ファンのかたも抵抗感なく読める内容となっています。この本を機に、気になった時代や国の歴史から入っていくのもおすすめです。個人的には「中華帝国の停滞はなぜ起こったのか?」に対して、朱子学を取り上げていますが「逆説の日本史」と共通することも多く学びになります。
特徴・おすすめポイント(☆☆☆☆☆)
歴史という概念は、国や時代、立場によって解釈が大きく違ってきます。沖縄で生まれ育った私が受けた学校での歴史教育と、世界史で学ぶ勉強のギャップの違いに驚いたこともあります。逆説の世界史では「イデオロギー」に囚われず、虚心坦懐に歴史にふれることができる一冊だと思います。
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7冊目:『世界史の構造』
七冊目は、少し専門的なテキストを紹介します。柄谷行人著、『世界史の構造』を取り上げます。この本を一言でいうと「交換様式から社会構成の歴史を見直すことによって、現在の資本主義社会を越えて行こうとする本」だと言えます。
柄谷行人さんは戦後日本を代表する批評家・思想家です。1970年代から文芸批評家として活躍し、90年代後半からはマルクスやカントの読解から「交換」に着目した理論で社会や歴史を読み解いてきた実績があります。
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マルクスが提唱した「交換様式」を世界史を再構成するという途方もない作業を行てきた、柄谷さんの業績は他の媒体に譲ります。大切なことは、国家や資本が機能しなくなった現代だからこそ、未来を予測し考察できるテキストの一冊として読んでみる価値はあると思います。
書籍名:世界史の構造
著者名(出版社):柄谷行人(岩波現代文庫)
出版年:2010年(第3刷版を読了)
対象読者(一般教養層):かなりマニアックな上に、マルクスやトランスクリティークなど、柄谷さんの過去の著書を読み込まないと理解が難しい一冊だと言えます。深い、世界史の魅力にハマりたい知的好奇心旺盛な人にはおすすめ。
特徴・おすすめポイント(☆☆)
私は、単行本で読みましたが、500ページを超える大著です。社会システムと世界史をつなぐ稀有な一冊です。ぜひ、チャレンジして欲しいと思い取り上げました。
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8冊目:『危機の世界史』
八冊目に取り上げる本は、ダン・カーリン著、渡会圭子訳、『危機の世界史』です。この本を一言でいうと「ポストコロナ禍を生き抜く知恵を歴史から学べる本」だと言えます。
『危機の世界史』では、世の中がひっくり返った時代をドラマチックに表現されています。過去には強大な軍事力を持ち、栄華を極めたアッシリア帝国があっという間に陥落し忘れられたという歴史があります。
2020年に経験したパンデミックですが、過去には現代から想像もつかない疫病の大流行がありました。西欧人口の2名に1人が死んだ、黒死病(ペスト)があります。
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この本は、「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」という格言を考えさせられる一冊となっています。最終章「地獄への道」では格言「地獄への道は、善意で舗装されている」を引用し、大量虐殺は英雄的行為なのか?という視点から、広島に落とされた原爆や空爆による非戦闘員の大量虐殺を容認する論理を正論化していく過程を書かれており、倫理的狂気について考察されています。
書籍名:危機の世界史
著者名(出版社):ダン・カーリン著、渡会圭子訳(文藝春秋)
出版年:2021年(初版)
対象読者(一般教養層):ジャンルとしては、「ゲームチェンジの世界史」に近い内容ですが。考察の部分が深く、世界史の知識がある程度ある方が読むと理解が深まると思います。私たちは。コロナ禍というパンデミックを体験しました。歴史的考察を経て未来への予測に役立つ一冊と言えます。
特徴・おすすめポイント(☆☆☆)
世界史が大きく動くときは、民族・宗教・疫病、そして文化的なイノベーションが挙げられると思います。今まさに、AI時代の興隆という時代に生きる上で、未来への道しるべとなる一冊です。
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9冊目:『ウラジミール・プーチンの大戦略』
九冊目に取り上げる本は、アレクサンドル・カザコフ著、原口房江訳、佐藤優監訳、『ウラジミール・プーチンの大戦略』を取り上げます。この本を一言でいうと「戦略家、プーチンのイデオロギー、政治哲学を徹底分析した本」だと言えます。
なぜ、この本が「世界史」なのか?そう、問いを立てることは無用だと言えます。ウクライナ戦争を「ロシアとウクライナ/善と悪」という二分対立で理解しようとする人に対して考察を促します。
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プーチン大統領の政治哲学を理解するには、宗教的な解釈とロシアと束ねる国家運営の難しさ、西欧の論理だけでは不可能な現実があります。その中で、プーチンはネットワーク原理に基づいて組織された新たな帝国づくりに取り掛かる過程が描かれます。その先にある、ウクライナ侵攻を予見した記述は見られませんでした。
小林よしのりさんの「ウクライナ戦争論」はロシアの無謬を一刀両断する名著とも言えます。近い将来、世界が帝国主義に逆戻りしそうな状況の中、ネットや日本人の有識者の中には当事者意識を持たない輩がいると口撃。
「ゼレンスキーは英雄じゃない」、「善悪二元論はだめ」、「どっちもどっち」とロシアを擁護しかねない言論人たちを批判し返す刀でネットウヨクを斬るなど知的興奮にあふれる一冊だと言えます。
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書籍名:ウラジミール・プーチンの大戦略
著者名(出版社):アレクサンドル・カザコフ著、原口房江訳、佐藤優監訳(東京出版)
出版年:2021年7月(初版)
対象読者(一般教養層):ロシアの行動原理について、メディアは西欧のプロパガンダを報道しているに過ぎない。プーチンの行動原理を理解するにおいて本著は有用な一冊と言える。
特徴・おすすめポイント(☆☆)
歴史的に、重要な名著であることは間違いない。だが、この本が、メディアで取り上げられ、日本の外交の指針となるとは思えないことから、☆二つ。ウラジミール・プーチンの行動原理を知りたいならぜひ一読を。
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10冊目:『日本人が知らない!世界史の原理』
最後、十冊目に取り上げる本は、茂木誠・宇山卓栄共著、『日本人が知らない!世界史の原理』を取り上げます。この本を一言でいうと「現代社会で起こっている出来事の闇を通史を通して解説する本」だと言えます。
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世界は、いまだ終わらない戦争と政治権力抗争、金儲けのからくりに、民族と国家の対立、そして日本では自虐史観がいまだに続いています。これら隠された世界史の真相をタブー視するだけで、テレビやメディアは取り扱うことを避けています。
本書では、世界史のタブーを巡って、東西を横断し、過去は古代から近代、そして現代・未来へと世界史の通史を縦断する内容になっています。読み進めながら、話が広がりすぎるため「どのようにまとめるのか?」と知的興奮をおぼえながら読み進めました。さすがは、予備校講師としてのお二人の実力を発揮しています。日本人が知っておくべき世界史のエッセンスを知ることができる一冊です。
書籍名:日本人が知らない!世界史の原理
著者名(出版社):茂木誠・宇山卓栄共著(ビジネス社)
出版年:2024年3月(初版)
対象読者(初心者/一般教養層/学生など):対談形式で話が進められていくので、読みやすく理解しやすい構成となっています。ポイントは予備校講師として培われた実力によるものだと読んで納得の一冊・初心者から学生、一般教養を身に付けたいかたにとってもおすすめ。
特徴・おすすめポイント(☆☆☆☆)
この本、一冊だけで、東西の歴史(古代から近代まで)を俯瞰できる内容となっています。通史というスタイルを取ることで、「年号と出来事と主な場面だけを解説」する教科書とは違った、理解できる教養の書だと言えます。ただ、取り扱うトピックが広く深いので、振り返りも必要になるかもしれません。
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まとめとして
【2025年版】世界史のおすすめ本10選として、関連本も含めて取り上げてきました。教養を得るには、歴史を知ることが回り道のようで結局は近道だと言えます。
現代社会で起こっている出来事のほとんどは歴史に起因することがほとんどです。世界史にふれることで「知ることの楽しみ」が増えると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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