
突然ですが、「自分の好きなものや人のことを誰かに話したい!」や「この前に観た映画の感動を伝えたいがどうやって言葉で伝えれば良いの?」、「推しの魅力を伝えたいのに、『やばい!』『尊い!』としか言えない…」と、悩んだことはありませんか?
SNSを中心に自分から情報を積極的に発信できる環境があっても「どうやって、この思いを伝えれば良いのか?」、「自分の推しを語る方法や、具体的な言葉が出てこない。」と言うかたも、意外と多いかと思います。
「自分の言葉で自分の想いを意思を相手に言語化するということは簡単そうに見えて以外に難しいと思います。本書では、自分の感じた「好き」の根っこを探り、それを誰かに伝わる形に変換する方法を、豊富な実例を挙げていきます。また、本記事では、実際に本書を読んでみた感想を交えながら、「好き」を言語化するとはどういうことか、そしてその技術が私たちのコミュニケーションにどんな変化をもたらすのかを、わかりやすく解説していきます。

三宅香帆氏の著書を知るキッカケは、現在ベストセラーになっている「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んだことでした。又、YouTube「出版区」への出演を観たことで、知的な雰囲気の三宅香帆さんに魅かれ「推し」になりました。
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この本を読んで欲しい人もしくはこの記事を読んで解ること
この本はずばり、自分が体験した出来事や好きになった「推し(好きなひと・もの・こと)」を、自分の言葉で思いを相手に語れるようになる本だと言えます。私たちは会話の中で、使いなれた便利な言葉に感情や思いをのせて表現する癖がついています。今回は、「「好き」を言語化する技術/三宅香帆 著」をテキストに解説していく構成となっています。
※:この記事を読んでわかること
- 『「好き」を言語化する技術』の概要がつかめます
- 著者の三宅香帆さんについて理解が深まります
- 著書の構成を読み解いていくことで言語化する技術がつかめます
感想を聞かれたときに「本当はもっと伝えたいことがあるのに」と、思っていても「おもしろかった」や「ヤバい」という言葉でしか表現できないなど、もどかしい思いをしたこともあると思います。さらに厳しいことを言うなら、「もどかしい思い」をしているなら救いがあると思います。なんの疑問や感情も抱かずに「ヤバい」、「エモい」、「うざい」だけで自分の感情を片付けようとする行為ことが、「一番のもったいない」ことだと思います。
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『「好き」を言語化する技術』の概要と特徴について
三宅香帆著『「好き」を言語化する技術』は、「好き」の気持ちをうまく言葉にできない人のための実用書です。読書感想や推し活、日常のコミュニケーションまで幅広く応用できる内容で、「どこが」「なぜ」「どのように」好きなのかを具体的に言語化する方法を丁寧に解説しています。実例も豊富で、自分の感情を他者に伝わる形で表現するための視点やトレーニング法が詰まった一冊です。
出版社「ディスカヴァー携書」について
ディスカヴァー携書は、出版社ディスカヴァー・トゥエンティワンが手がける新書シリーズで、「知的好奇心を満たし、日常に役立つ知識をコンパクトに届ける」ことをコンセプトに展開されています。このシリーズの最大の特徴は、ビジネス、自己啓発、教養、ライフスタイルなど幅広いジャンルを網羅しながら、読者が日常の中で実践できる内容をわかりやすく、かつ深く掘り下げて紹介している点にあります。
判型は手に取りやすい新書サイズで、持ち運びやすく、通勤や通学の合間にも読みやすい設計になっているため、多忙な現代人にとっても親しみやすいシリーズです。また、装丁もシンプルかつ洗練されており、本棚に揃えておきたくなるデザイン性も特徴です。
著者陣には、ビジネスパーソン、研究者、作家、評論家など多彩な専門家が名を連ねており、実用性と知的刺激のバランスが取れたラインナップが魅力です。情報が多すぎる現代において、信頼できる知見を短時間で学びたいというニーズに応える、質の高い教養書シリーズとして、多くの読者に支持されています。
こんな人にこそ読んでほしい
・著者(三宅香帆氏)は「はじめに」で言います。
その推しに感動したとき、
「推しについて誰かに語りたい!」
「推しの魅力をみんなに知ってほしい!」
「推しの素晴らしさについて、発信したい!」
と思う。
けれども、いざ語ろうと思うと
「やばい!」という言葉しかでてこない。
「好き」を言語化する技術~推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しか出てこない(三宅香帆著/4ページ)より引用
現代は、YouTubeチャンネルやサブスクリプションなどのコンテンツを通して、エンターテインメントが充実していて、しかもそのコンテンツに気軽にアクセスできる時代です。
だからこそ、自分の推し(好きなこと)に出会えた感動を、自分の言葉で語りたいという想いを、誰もが一度は感じたことがあると思います。この本は、「この感動を、自分の言葉で語りたい!もっと世界に知って欲しい」、と言うあなたの気持ちを後押ししてくれる一冊だと思います。

昭和生まれ平成育ちの私としては「語りたいことは山ほどあるのに、語れる場所も友人もいない」と、悔し涙を流したことが昨日のように思い出せます(←ただのオタク)
自分の好きなものや人を語ることは、自分の人生を語ること
本書では、具体的に推しの定義から丁寧に説明します。
これまでも「ファン」や「贔屓」といった言葉はありましたが、「推し」という言葉の特徴は、「推薦したい」、つまりは誰かに薦めたい、という感情が入っていること。単にこの対象を好きなだけじゃなくて「他人に紹介したい!」「魅力を言葉にして素晴らしさを分析したい!」という欲望を持つことが、推しの条件かもしれません。
「好き」を言語化する技術~推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しか出てこない(三宅香帆著/24ページ)より引用
著者は(第一章)で「自分の好きなものや人を語ることは、自分の人生を語ること」と説明します。又、「好き(推し)を」言語化するうえで、まっさきに注意することは、「他人の感想を見ない」、「自分だけの感情が一番大事」だと説明します。ただ、注意すべき点として、何も考えずに言葉にし始めると「ありきたりな言葉」しか出てこないと。注意を促します。他人の言葉に支配されず、ありきたりな言葉を使わない「オリジナルな感想」こそが大切なのですと説きます。
本著では、語彙力がない、言語化が下手。すぐに他人の言葉に影響を受けてしまう人でも「自分の言葉をつくる」ための、ちょっとしたコツも紹介されていますので、そこは実際に読んでお楽しみください。
著者の三宅香帆さんってどんな人?
三宅香帆さんは、現代の文芸評論界で活躍する若手の評論家であり、同時に読書家としてSNSやコラムなどを通じて多くの読者と感性を共有してきた人物です。彼女の著書『「好き」を言語化する技術』は、そんな彼女自身の長年の読書体験や批評活動から得た「感情を言葉にするための実践的な技術」をまとめた一冊となっています。
著書の三宅香帆さんについて、Wikipediaからプロフィールを引用します。
徳島県美馬市に生まれ、3歳より高知県高知市で育つ[1]。高知学芸中学校・高等学校[1]、京都大学文学部卒業[2]、京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了後、2019年に博士後期課程(専門:萬葉集[3])を中途退学して就職のため東京へ移る[4][5]。
学部在学中に京都天狼院書店の店長に就任しており[6]、大学院在学中の2017年に著作家としてデビューした。
2024年、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』にて、「第2回書店員が選ぶノンフィクション大賞2024」を受賞し[7]、「第17回オリコン年間本ランキング2024」の新書部門においても年間1位を記録している[8][9]。
「三宅香帆 – Wikipedia ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典:最終更新 2025年2月27日 (木) 12:27 UTCの版」 より引用
小さい頃から本が好きで、ブックオフや図書館でたくさんの書籍にふれてきたと話されています。本を読まないとストレスがたまると話されているほどで、本によって人生が豊かになったと話されています。
「将来は、本に関わるお仕事がしたかった」と、目標も当時からしっかりと決められていたらしく、職業として批評家を志した三宅さん。職業として書評家の仕事をしていくなら、就職した方が道が開けそうだと感じて副業が認められている東京の会社に就職されたそうです。
しかし、体力的にも書評家の仕事の質を考えても、兼業を続けていくことは難しいと感じていたそうです。書評家の仕事に専念したい気持ちが強く、結婚を機に京都に引っ越すことになったタイミングで、専業に挑戦することに決められたそうです。
著書について
三宅香帆さんの著書には、『人生を狂わす名著50』、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』、『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』、『妄想とツッコミでよむ万葉集』、『それを読むたび思い出す』、『名場面でわかる 刺さる小説の技術』などがあります。
書評家として、「これまで全く本を読んでこなかった人」や、「昔は読んでいたけど今は読んでいない人」が本を手に取ることに貢献できたら一番嬉しいと話されています。文章を書き始めたのは幼少期から興味があり、都度書き続けてきたとのこと。中学生の頃から日記をつける習慣が出来てきたと話されています。また、「何が好きか。何を感じているか。書くことで自分自身が安定します」と書くことに対する目的意識をインタビューでも話されています。
「人に言えない気持ちを発散させたり、反省したり。私の場合、仕事や人生での選択については日記を書きながら考えることが多く、自分を見つめ直す大事な手段だと感じています。なんとなく悩んでいる、ぼんやりとしんどさを抱えているときなど、頭の中にしまったままだとわからなかったことが、言葉にすることで整理されたりするんです。読み返してみて、定期的に同じことを悩んでいることがわかったのも発見でした」
引用記事:三宅香帆さんが【“書く”ことを続ける理由】「何が好きか。何を感じているか。書くことで自分自身が安定します」 | LEE
三宅さんは「自分が思うことや感じていることは、他人にそのまま伝えるとどう思われるかわからないものも多く、皆さんも、そこが混ざってつまずくんじゃないか」と、話されています。SNSで気軽に自身の意見を発信できる環境が身近にあるからこその悩みだと言えます。
三宅さんは、「一旦誰にも見られない場所で言語化してから、どれを伝えてどれを伝えないかを取捨選択するほうが健康的なのかな?」と考えたとのこと。そうすれば『SNSにあんなこと書かなきゃよかった』という後悔は減る気がするとインタビュー記事で話されています。ご自身の書くことへの想いを「言語化」されたとても良いインタビュー記事でしたので紹介しました。
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YouTubeチャンネル「三宅書店」
自他共に認める「読書オタク」の三宅香帆さんは、YouTubeチャンネルも開設されています。そこでは、批評のルーツや「働きながら本を読むコツ」など忙しくて本が読めないという方に向けて情報を発信しています。三宅さんの自宅で所有の本棚を公開するなど、本好きには魅力的なコンテンツとなっています。
【三宅香帆YouTubeチャンネル:三宅書店 – YouTube】
各章ごとの構成内容について
『「好き」を言語化する技術』は全6章で構成されており、各章を通して段階的に「感情を他人に伝える言葉に変える」ための考え方や手法が紹介されています。ただ感想を述べるのではなく、「どこがどうよかったのか」「なぜその場面で心が動いたのか」といった、自分の内面を丁寧に見つめ直す作業こそが「言語化」だと著者は語ります。
第1章では、そもそも「言語化とは何か?」という問いからスタートします。「やばい!」「尊い!」などの言葉で終わらせてしまいがちな「好き」という感情。それを他人に伝わる言葉に変えるためには、何を意識する必要があるのかを、わかりやすく整理しています。
第2章以降では、「自分が何に感動しているのかを正確に観察する」「自分の視点や経験から語ることの大切さ」「他人の感想や一般的な評価に頼らない」など、より実践的な方法が展開されます。特に「思考停止ワードに注意する」「好きなポイントを分解して書き出す」「他者の目線ではなく自分の“なぜ”を掘り下げる」といったテクニックは、レビューや感想文を書く際だけでなく、日常会話やSNSでの発信など、幅広い場面で役立ちます。
感情を言語化する具体的なテクニックについて
各章には著者自身の実体験や読書体験、さらには映画やアニメ、小説といった具体例が数多く引用されており、読者は自分の好きなジャンルと照らし合わせながら内容を咀嚼することができます。たとえば、「ただ『泣けた』という感想で済ませず、何がどうして心を動かしたのかまで言葉にする」というプロセスは、感情をより深く理解し、他者にも伝えられるようになる上で非常に有効です。
具体的にいうと、「面白かった」や「悲しかった」という感情を一言で表現しないことだと説明します。「なぜ、○○が面白かったのか?」と、自身に問いかけていく癖をつけていくことで、自分の言葉を掘り下げることが出来ます。
「なぜ、○○が面白かったのか?」→「△△だから」→「なぜ、△△と思ったのか?」→「□□」と、自身の納得する答えが出尽くすまで問いかけてみると、感情に対して多角的にとらえることができると思います。慣れてくると、「なぜ?」という問いかけだけではなくて、「○○に対して、どうしたいと思う?」など、質問方法を変えてみると、違った視点に気づくことができると思います。
『「好き」を言語化する技術』の特徴について
本書の大きな特徴は、「誰でも言語化の力を鍛えることができる」と明確に提示している点にあります。言語化の力は、センスや文学的な素養が必要な特別な能力ではなく、視点と思考の習慣を変えることで育てていける「技術」であると著者は繰り返し説いています。この視点は、文章を書くことに苦手意識を持っている人にとって、大きな励ましとなるでしょう。
さらに、巻末では実際の読書感想分の例文やレビューを書く際のテンプレートや練習問題のような例題も紹介されており、「読んで終わり」ではなく、「読みながら試す」「読み終えてすぐ実践できる」構成となっているのも実用書としての魅力です。
読書感想文が苦手な学生から、ブログやSNSで「推し」について発信したい人、自分の感情をもっと上手に言葉にしたいと願うすべての人へ。本書は、「好き」をただの感情で終わらせず、それを他者に届く言葉へと変換するための、確かな「技術」を与えてくれます。何となく心を動かされたその瞬間を、自分の言葉で丁寧にすくい上げていく――その繰り返しが、言葉の力を磨いていくのだということを、そっと教えてくれる一冊です。
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さいごに
言葉という存在は良くも悪くも相手に影響を与えるツールでもあり、使い方によっては「呪い」にも「祝福」にもなると思います。自分の言葉で自分の推しを語る(祝福する)ことの大切さをこの本から学びました。
私たちは、良くも悪くもインターネットを中心にSNSといった「他人の感想(言葉)」から意外なほど影響を受けています。タイムラインに流れてくる他人のコメントを読んでは、「コピー&ペースト」していることに気が付かず、さも私自身が考えたかのように周りに話してしまいます。
語弊を恐れずに言えば、ネットやSNSと言った他人の意見こそ「ありきたりな言葉」そのものだと感じました。「自分の意見を自分の言葉に落とし込む技術」として身につく一番の道は本を読む習慣なのでは?と思いました。
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