この本は、一言でいうと『自分のちょっとした行動や言動が、老害にならないように「良き上司」「良き先輩」を目指す40歳以上のすべての人に読んで欲しい教育論』とも言える一冊です。新年度を迎え、新しい部下や後輩ができる時期です。前田康二朗著、「メンターになる人、老害になる人」を取り上げることで、人間関係と教育論を学んでいきましょう。

実際に私も40代半ばで、会社を運営しています。社員4名を指導する立場でもあります。老害にならないように戒めとして記事を書いていきたいと思います。
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この記事を読んでわかること
- 「メンター」とはなにか?「老害」とはなにか?が理解できます。
- 「老害」にならないための秘訣がわかります。
- 「メンタ」ーであり続けるためのコミュニケーション術が学べます。
今、日本では少子高齢化が進み、職場の平均年齢が上がっている企業や職場も多いと思います。対して、若手の人手不足と言われる中で、新卒の就職活動では「売り手市場」ともいわれる新入社員を獲得するため企業は「初任給月給30万円」などの条件を提示するなど、積極的に若手新卒の新入社員を採用しようとする流れが大手の企業では出来つつあります。
ですが、せっかく採用したは良いものの熱心に指導をした結果、「あの人の指導って老害だよ」と、言われたくないものです。そこで、「老害」とは何か?「メンター」と呼ばれる人たちはどんな特徴なのか?見ていきたいと思います。
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老害とは?メンターとはなにか?
本書である前田康二朗著、「メンターになる人、老害になる人」の概要とは『私たちビジネスパーソンの理想として、まず実績や結果をだすことが求められる。と解説します。そのうえで「メンター」と言われる存在を目指し「老害」といわれる存在に転じてしまわないようにすることが大事』だと説きます。
そのためには、絶えず自分自身をセルフコントロールをすること。時に自信を省みて、セルフチェックをして「メンター」の状態を維持し続けることが大切だと言います。そこで、重要な概念となる「メンター」とは?「老害」とはなにか?どのような状態を指すのか見ていきたいと思います。
老害とはなにか?
漢字の持つ意味からも読み取れるように「老害」は、良い意味ではありません。老害とは、一般的に高齢者が持つ行動や言動が周囲に悪影響を与えているとされる状態を指します。具体的には、自己中心的な態度や過去の成功体験に固執し、現代の価値観や文化の変化に対応できない状況が挙げられます。その結果、若者や周囲の人々を困惑させる行動や、組織や会社の成長を阻む原因になることがあります。
「老害」が増えた要因として、現代の一般社会において、終身雇用や年功序列が崩れ中途採用が増えたことも「老害」が増えた要因とも言えます。「年上の部下」「年下の上司」も存在が増えたことや、リスキリング(従業員や個人が新たなスキルや知識を学び直すプロセスを指す。現在の業務に必要な能力を習得することで、特にデジタル技術の分野で重要性が増している)によって、1からスキルを学ぼうとする40代や50代の社員に対して、20代や30代の社歴でスキル豊富な社員が、そうではない40代や50代に「老害」をしているケースもあると説明します。
※POINT:「老害」になるひとには年齢は関係ない。20代や30代でも「老害」になりうる。
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老害の構成軸について
本書「メンターになる人、老害になる人」では、老害の構成軸に対して詳しく解説されています。
老害の構成軸
- 生きてきた年数(年齢)
- 特定の組織に所属してきた在籍年数(会社、団体、地域コミュニティなど)
- 特定の専門分野の実務経験年数(営業歴、製作歴、編集歴、人事歴、経理歴、教師歴、作家歴、野球歴、など)
- 組織のポジションの経験年数(社長、部下、理事長、編集長、など)
これらの年数が長いほど、その人が周囲から「メンター」となる要素もあれば反対に「老害」となる危険性もあるわけです。
引用:「メンターになる人、老害になる人」17ページより
堀江貴文さんのYouTubeチャンネルでも、「老害化する人の特徴とは?」で成田悠輔さんとの対談で老害について語っています。一つの会社や組織のポストに長年座っていると老害になりやすい。特に老害を促進させる原因として「老害を取り巻く人たち」という狭いコミュニティに原因があると話されています。
成田さん曰く、「地位や社歴上、老害とわかっていても周りの人は表面上はその人を尊敬しなければならない。逆に、老害と言われる人たちこそ「周りに必要とされていない感」をガンガン出すべきだ」と疎外感で締め出してしまえと話されています(汗)。
個人的には、「老害」と言われる人物こそ、疎外感を感じると却って(余計に)その害悪を周りまき散らかすだけで面倒な状況を引き起こすのでは?と思いました。
結論、定年になり会社や組織のポストから外れると誰からも相手をしてもらえなくなる。そのイライラが妻や子供たちに向くので家庭でも煙たがられる存在になり孤独になる。結果、ボケてしまい老人ホームに行くはめになると、少々辛辣なご意見をされていました。
狭いコミュニティに満足して、周りからチヤホヤされるだけ。逆に、自分から知らない世界や違う環境に飛び込まず、ぬるま湯の状況に浸かっていると老害になりやすくなると「老害の構成軸」からも読み取れます。
【「老害化する人の特徴とは?」を観るなら:【堀江貴文】老害化する人の特徴は全員〇〇してる・・一つの会社で勤め上げた人は一番ヤバい老人になってる・・・ 老害 年金 老人 高齢化 ホリエモン【切り抜き】】
※POINT:「井の中の蛙大海を知らず」でいると「ゆでガエルの法則」状態に陥ってしまう。
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メンターと言われる人の特徴について
一方で、「メンター」の定義を挙げてみたいと思います。辞書では「良き指導者。優れた助言者。恩師」と書かれています。又、「日本メンター協会」ではメンターのイメージを次の様に挙げています。
メンターのイメージは、それぞれ、人によって、組織によって違うと思われます。訳語としては、「支援者」「助言者」とされることが多いです。 メンターに特定なスキルや知識を求めるのであれば、その領域に知識・スキルを持ち、その実績があり、いろいろと経験している人をイメージするかもしれません。しかし、多くの人のイメージは、「いろいろなことを安心して相談できて、前向きな気持ちにさせてくれる人」というイメージでないでしょうか。以下に、メンターのイメージを具体的に、6つ挙げてみます。
① 仕事の面でも、プライベートの面でも安心して相談できる人。
② どのような相談でも、共に悩み、考え、支え、称えてくれる人。
③ できる範囲で、有形無形問わず、力になってくれる人。
④ 特別に振る舞うことはせず、ありのままの態度で接してくれる人。
⑤ 同じ目線で、フラット(対等)な立場で対話してくれる人。
⑥ メンティーと共に、成長する人
※ メンターに支援してもらう立場の人を、メンティー(プロテジェ)と呼びます。
引用:メンターとは?メンター像には、目的別に2つの類型がある – 日本メンター協会
私個人の意見として、メンターのイメージ「⑥」に挙げられていました「同じ目線で、フラット(対等)な立場で対話をしてくれる人」に感銘を受けました。どうしても立場上「指導」や「相談」をするとなると「上から目線」で一方的なコミュニケーションを取りがちですが、同じ目線で対話をする大事さと同時に難しさを感じました。
本書「メンターになる人、老害になる人」では、面白い気付きを書かれています。
そこで私は気付きました。「老害」の対義語は「メンター」(仕事、キャリア、ライフプランなどについて助言をしてくれる、信頼のおける相談相手)なのだということにです。
「老害」と言われてしまう人と、「メンター」と呼ばれるような人、これを別々にイメージすると、前者と後者は全く似ても似つかない別人格の人物を想像することでしょう。しかしそうではなく、老害を引き起こす人とメンターとして尊敬される人は実は「同一人物」の場合もあるのです。
引用:「メンターになる人、老害になる人」3ページより
「老害になる人」と「メンターになる人」と、それぞれの概念で区別をするのではなく、「老害にもメンターにもなりえる人」なのか?「老害にもメンターにもなりえない人」で区別をするべきだと説きます。
という訳で、ここまでメンターの特徴を取り上げてみました。メンターの特徴が過剰になったりすると、メンターとメンティーが「お互いに対等」であるべき視点が、一方的にメンターの「上から目線」になるなど、一転して老害になりかねないということが解りました。
※POINT:人は老害にもメンターにもなりえる可能性があることを理解する
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○○な人ほど、メンターにも老害にもなりえる
ここまで、「メンター」になる人こそ「老害」にもなりうるという危機管理も含めて説明してきました。ここでは、メンターにも老害にもなりうる特徴の「○○な人」を一挙に取り上げてみます。
※○○な人だからこそ、メンターにも老害にもなってしまう「○○な人」
- お世話好き、面倒見が良い人
- おせっかい好きな人
- 気が付きやすい人
- 気が利く人
- サービス精神旺盛な人
- 経験年数や実績、成功体験がある人
- 人脈がある人
- まじめで負けず嫌いな人
- 「役立つことを言わなければ」と思う人
- キャッチーで力強いフレーズを言える人
- 後継者の決まらないカリスマ経営者だという人
詳しい内容は、本著を手に取って内容を読んで欲しいのですが、仕事に対してやる気がある人なら、上記の一つくらいは当てはまりそうで怖いです。

「頑張って働いてきたのに気がついたら周りから老害と言われていた」なんてことにならない様に上記のポイントは特に気を付けたいと思いました。
メンターでも陥りやすい老害にならないためのコミュニケーション術
ここでは、メンターですら陥りやすい「老害」と言われないためのコミュニケーション術について解説してきますね。「メンターになる人、老害になる人」では、老害と指摘されやすい人の話し方には「くせ」となる型(フォーマット)があると説明します。典型的な例として、
- 利己的な決めつけや断定をする
- Aは優れているがBは劣っている」という対比で優劣をつけたがる
上記の2点を組み合わせた発言をすることで「老害」だと周りから思われてしまうリスクが上がります。「そんなつもりで言ったのではない」と後から弁明しても後の祭りです。以下に解説する要点に気を付けながら「老害」に陥らないためのコミュニケーション術を学んでいきましょう。
その①:正しいか、正しくないかで論じない
「計算された内容が間違っていた」や「禁止事項にふれてしまう事象」など、客観的に正誤が証明できるものは指摘をしても問題ないと言います。問題なのは、どんな答えでも間違いと言えない話題や正解や解決にいたる方法がいくつもある問題に対して「正しいか、正しくないかで論じる」ことは危険だと言います。
特に、社会人になると仕事の同僚や先輩、上司や取引先とはなす機会も増えます。雑談の中でも天気やニュースなどの話題にふれることもあると思います。
こうしたときに話をしてはならないジャンルがあることは有名ですよね。「宗教と政治と野球の話はするな」という名言です。
この、3つのジャンルには共通点があります。正しい(正義)や正しくない(悪)の立場で論じると、その人の「思想信条に反するリスクが高い」という共通点です。極論な例を挙げましたが、上記の3つのジャンルを断罪するような口調で話すと、かなり高い確率で「老害認定」をされるだけでなく信頼関係を根底から崩すことになるので気を付けましょう(書いていて背中が寒くなりました)。
※POINT:正しい、正しくないではなく「どっちとも言えない(グレー)」な状態があることも理解する。
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その②:優れているか、優れていないかで論じない
本書からの内容になりますが、Amazonなどを始めとしたレヴューサイトでは、辛口な意見の冒頭に「私は、海外の○○大学に留学していましたが」や「私は上場企業の○○の管理者ですが」などと「私は著者であるあなたより優れている」アピールから始まる内容が多いそうです。
その方々の言いたいことは「優れた学歴や職歴を持っている私の意見は優れている」という立場から意見を論じたがるそうです。当の本人は、「私の意見が良い意見(正しい意見)」と、思いこんでいるので感情的、断定的な暴言がネット上で見られるようです。
少し、古い記事なのですが、文筆家の古谷経衡氏の記事は考えさせられる内容になっています。
「ネットで差別的な言動を取るネット右翼の正体は、無知文盲の低学歴・低収入の貧困層である」という風説は、未だにちらほらと噴出してくる。これは明白な嘘であると言わなければならない。
例えば2013年に筆者が行った調査(詳細は拙著『ネット右翼の終わり』晶文社などに詳述)によると、ネット右翼の平均年収は約450万円(日本人の平均年収と同程度)、四大卒(中退者を含む)は6割を数え、その平均年齢は38歳強、男女比はおおむね3:1程度、主に東京・神奈川を中心とした首都圏在住者が全体の2/3に迫る。最も多い職業は「自営業者」であり、会社員であっても「管理職」といった他の労働者に対して指導的立場にある者が多かった。
これをみると、ネット右翼とされる人々の社会的位置づけは、底辺というよりも、一言で言えば「大都市部に住むアラフォーの中産階級」である、となる。
差別的発言、排外的発言を開陳するネット右翼は、その言葉遣いだけを見ると無知文盲のごとく観測されるので、ネット右翼の社会的イメージは「低学歴、低収入の貧困層=社会的底辺層」とされがちだが、それは大きな間違いなのである。
引用:「ネット右翼」は日本に何万人いるのかを測る、ひとつの試み(古谷 経衡) | 現代ビジネス | 講談社(一部修正)
一時期、「ネット右翼」のネット上で誹謗中傷などの書き込みが話題になりましたが、批判的な書き込みをする、いわゆる「ネット右翼」は必ずしも「底辺層という社会的位置づけの人たちではない」という論考は、「優れた学歴や職歴を持っている私の意見は優れている」という立場から意見を論じたがる「老害」との共通点を感じます。
※POINT:「優れた学歴や職歴を持っている私の意見は優れている」と言われたときは「知らんがな」でスルーする。
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その③:会話の冒頭を「否定」から入ってはいけない
「会話の冒頭を「否定」から入ってはいけない」を具体的に解説をするため、本著から引用したいと思います。
コロナ禍に在宅勤務制度を導入していた会社で社員の方達にアンケートを取ったところ、「在宅勤務下で不快だった出来事」の断トツの一位が、オンライン会議の冒頭で、上司から「ちゃんと仕事してる?」「さぼってたんじゃないの?」とからかわれたことでした。
引用:「メンターになる人、老害になる人」95ページより
上司からすると、親しみを込めた皮肉というか「上司こそ、ちゃんと仕事しています?」と、部下からの返しを期待しての発言だと思います。本書でもそのように書かれています。ですが、今の若い人からは「否定」から入られたと感じるそうです。
なぜ、人をいきなり否定してきて不快な思いにさせてくるのか「意味がわからない」ととらえるそうですが、先ほど取り上げたメンターの特徴「同じ目線で、フラット(対等)な立場で対話をしてくれる人」こそ、メンターであるなら「否定から入る」は「老害認定」されても仕方ないと言えます。
※POINT:自分が気持ち良くなりたいだけのために、他人を下げようとするコミュニケーション作法は老害認定されるので注意。
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さいごに
ここまで、記事をお読みいただきありがとうございました。『自分のちょっとした行動や言動が、老害にならないように「良き上司」「良き先輩」を目指す40歳以上のすべての人に読んで欲しい教育論』として、前田康二朗著、「メンターになる人、老害になる人」を取り上げることで、人間関係と教育論について解説してきました。本書では、より具体的に事例を取り上げて詳しく解説されていますので、興味を持たれたかたは、ぜひ一度、書店で手に取ってお読みください。

これから、超高齢化社会を迎える中で、だれもが後輩や部下を持つような機会に遭遇すると思われます。若い人材から「老害認定」されないようにコミュニケーションに気を付けながら社会をサバイブできれば幸いです。
では、またの機会にお会いできるのを楽しみにしております。
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