
40歳を過ぎたビジネスパーソンにとって、「良き上司」や「良き先輩」であり続けることは簡単ではありません。
前田康二朗著『メンターになる人、老害になる人』は、自分の言動が「老害」とならないようにセルフチェックしつつ、メンターとして信頼される存在になるための教育論を示す一冊です。
この本は、一言でいうと『自分のちょっとした行動や言動が、老害にならないように「良き上司」「良き先輩」を目指す40歳以上のすべての人に読んで欲しい教育論』とも言える一冊です。

この記事では『メンターになる人、老害になる人』の概要とポイントを整理したうえで、「信頼される上司になるコミュニケーション術」3選を紹介します。

パパ!上司って言葉はよくわからないけれど…先生の中には、正直むずかしいって感じる人もいるよ。この記事で学べるならすごく助かるかも!
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「老害」とは?「メンター」とは?

前田康二朗著、『メンターになる人、老害になる人』は、ビジネスパーソンにとっての理想像を描いた一冊です。著者はまず、「成果や実績を出すことが求められる」と解説します。
そのうえで、部下や後輩から信頼される「メンター」を目指し、逆に「老害」と呼ばれる存在に転じないようにすることが重要だと説いています。
メンターとしての状態を維持するためには、日々のセルフコントロールが欠かせません。また、時には自分の言動を振り返り、セルフチェックを行うことが求められます。
セルフチェックを行うことにより、上司や先輩としての立場を誤らず、周囲から信頼される存在であり続けることができるのです。

じゃあさ、ここで大事になってくる『メンター』って何?『老害』ってどんな状態?そのあたりをちょっと見ていこうか。

『老害』って言葉は良く聞くけれど、『メンター』ってどんな意味なんだろう?
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老害とはなにか?
「老害」という言葉は、漢字の意味からもわかるように、決してポジティブなものではありません。一般的には、高齢者を中心とした行動や言動が周囲に悪影響を及ぼしている状態を指します。
具体的な特徴としては、
- 自己中心的な態度
- 過去の成功体験に固執する姿勢
- 現代の価値観や文化の変化に適応できない状態
といったものが挙げられます。
こうした態度や行動が積み重なると、若い世代や周囲の人々を困惑させる要因となり、さらには組織や会社の成長を阻害する原因にもなりかねません。
つまり「老害」とは、単なる世代間のギャップではなく、組織全体に悪影響を与える深刻な問題なのです。

最近『老害』が増えた背景には、終身雇用とか年功序列が崩れて、中途採用が増えたことも関係してるんだよね。そういうのも一因って言えると思うんだ。

昔みたいに同じ会社でずっと働く人って減ってるって学校の先生も言っていたよ。いろんな世代や価値観の人が入り混じるから、ぶつかることも増えるのかもしれないね。
近年の社会では、「年上の部下」「年下の上司」という立場が珍しくなくなってきました。また、DXの推進や働き方の多様化に伴い、**リスキリング(学び直し)**の重要性も大きな話題となっています。
従業員や個人が、新たなスキルや知識を身につけ直すことは、これからのキャリアに欠かせない取り組みです。
一方で、問題となるのが「逆老害」と呼ばれる現象です。例えば、40代・50代の社員が一からITスキルを学ぼうと努力している時、20代や30代のITスキルに長けた社員が、そうではない世代に対して見下すような態度をとってしまうケースがあります。
これは、従来の「年長者が老害化する」という構図とは逆に、若い世代が年上世代に対して老害的な振る舞いをしてしまう現象であり、世代間コミュニケーションの難しさを象徴するものだと言えるでしょう。
※POINT:「老害」になるひとには年齢は関係ない。20代や30代でも「老害」になりうる。
老害の構成軸について
本書『メンターになる人、老害になる人』では、老害の構成軸に対して詳しく解説されているので引用します。
老害の構成軸
- 生きてきた年数(年齢)
- 特定の組織に所属してきた在籍年数(会社、団体、地域コミュニティなど)
- 特定の専門分野の実務経験年数(営業歴、製作歴、編集歴、人事歴、経理歴、教師歴、作家歴、野球歴、など)
- 組織のポジションの経験年数(社長、部下、理事長、編集長、など)
これらの年数が長いほど、その人が周囲から「メンター」となる要素もあれば反対に「老害」となる危険性もあるわけです。
引用:「メンターになる人、老害になる人」17ページより
堀江貴文さんのYouTubeチャンネルでも、「老害化する人の特徴とは?」で成田悠輔さんとの対談で老害について語っています。
一つの会社や組織のポストに長年座っていると老害になりやすい。特に老害を促進させる原因として「老害を取り巻く人たち」という狭いコミュニティに原因があると話されています。
成田さん曰く、「地位や社歴上、老害とわかっていても周りの人は表面上はその人を尊敬しなければならない。
逆に、老害と言われる人たちこそ「周りに必要とされていない感」をガンガン出すべきだと疎外感で締め出してしまえと話されています。

正直さ、『老害』って言われる人こそ、仲間外れにされたり疎外感を持っちゃうと、逆に周りに悪影響ばっかりまき散らして、余計に面倒なことになっちゃうんじゃないかなって思うんだよね。

人って認めてもらえないと拗ねちゃったり意地張っちゃったりするよね。だからこそ、ちゃんと関わり方を工夫するのって大事なんだと思うな。
定年を迎えて会社や組織のポストを外れると、誰からも相手にされなくなります。 その結果、抱えたイライラの矛先は妻や子どもへと向かい、家庭内でも煙たがられる存在になり、やがて孤独へと陥ってしまいます。
最悪の場合、孤独感から心身の健康を損ない、認知機能の低下や老人ホームへの入居につながることもある、と述べています。
狭いコミュニティに満足して、周りからチヤホヤされるだけ。逆に、自分から知らない世界や違う環境に飛び込まず、ぬるま湯の状況に浸かっていると老害になりやすくなると「老害の構成軸」からも読み取れます。
【「老害化する人の特徴とは?」を観るなら:【堀江貴文】老害化する人の特徴は全員〇〇してる・・一つの会社で勤め上げた人は一番ヤバい老人になってる・・・ 老害 年金 老人 高齢化 ホリエモン【切り抜き】】
※POINT:「井の中の蛙大海を知らず」でいると「ゆでガエルの法則」状態に陥ってしまう。
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メンターとは何か?
ここで改めて、「メンター」という言葉の定義を確認してみましょう。辞書によると、メンターとは 「良き指導者。優れた助言者。恩師」 を意味します。
つまりメンターとは、単に知識や経験を教える存在ではなく、相手に寄り添い、前向きな成長を後押しする人のことを指すのです。
ビジネスの現場では、部下や後輩に安心感を与えつつ、信頼されるリーダー像として「メンター」の役割がますます求められています。
「日本メンター協会」ではメンターのイメージを次の様に挙げています。
メンターのイメージは、それぞれ、人によって、組織によって違うと思われます。訳語としては、「支援者」「助言者」とされることが多いです。 メンターに特定なスキルや知識を求めるのであれば、その領域に知識・スキルを持ち、その実績があり、いろいろと経験している人をイメージするかもしれません。しかし、多くの人のイメージは、「いろいろなことを安心して相談できて、前向きな気持ちにさせてくれる人」というイメージでないでしょうか。以下に、メンターのイメージを具体的に、6つ挙げてみます。
① 仕事の面でも、プライベートの面でも安心して相談できる人。
② どのような相談でも、共に悩み、考え、支え、称えてくれる人。
③ できる範囲で、有形無形問わず、力になってくれる人。
④ 特別に振る舞うことはせず、ありのままの態度で接してくれる人。
⑤ 同じ目線で、フラット(対等)な立場で対話してくれる人。
⑥ メンティーと共に、成長する人
※ メンターに支援してもらう立場の人を、メンティー(プロテジェ)と呼びます。
引用:メンターとは?メンター像には、目的別に2つの類型がある – 日本メンター協会

個人的にはね、メンターのイメージで出てきた⑥の『同じ目線で、フラットな立場で対話してくれる人』ってところに、すごく感銘を受けたんだ。

先生もそうだよね!叱るように話すんじゃなくて、ちゃんと同じ立場で話してくれる先生ってとても安心感があるし、素直に話せるんだよね。
ティーチングという技法は、知識やスキルを持つ人が「指導」や「相談」に応じる際によく用いられます。
その過程でどうしても 「上から目線」になりやすく、一方的なコミュニケーション に陥ってしまうことがあります。
相手の成長を願って伝えているつもりでも、受け取る側からすると「押しつけられている」と感じてしまうケースは少なくありません。
だからこそ重要なのは、同じ目線で対話する姿勢です。相手の立場を尊重しながら会話を進めることは、信頼関係を築くうえで欠かせません。

でも実際にやろうとすると全然簡単じゃなくて、指導する側にとってもかなり大きな課題になるんだよね。
本書『メンターになる人、老害になる人』では、面白い気付きを書かれています。
そこで私は気付きました。「老害」の対義語は「メンター」(仕事、キャリア、ライフプランなどについて助言をしてくれる、信頼のおける相談相手)なのだということにです。
「老害」と言われてしまう人と、「メンター」と呼ばれるような人、これを別々にイメージすると、前者と後者は全く似ても似つかない別人格の人物を想像することでしょう。しかしそうではなく、老害を引き起こす人とメンターとして尊敬される人は実は「同一人物」の場合もあるのです。
引用:「メンターになる人、老害になる人」3ページより
「老害になる人」と「メンターになる人」と、それぞれの概念で区別をするのではなく、「老害にもメンターにもなりえる人」なのか?「老害にもメンターにもなりえない人」で区別をするべきだと説きます。

本来はメンターとメンティーって“対等”であるべきなのに、気づいたら一方的にメンターが上から目線になっちゃって、結果的に『老害』っぽくなっちゃうこともあるんだ。

“良かれと思って”のアドバイスでも、受け取る側からすると押しつけに感じちゃうことってあるもんね。対等な関係を意識するのが大事なんだね。
※POINT:人は老害にもメンターにもなりえる可能性があることを理解する
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メンターが老害化しないために|信頼される上司になるコミュニケーション術3選

ここでは、メンターであっても注意しなければ陥りやすい「老害」と言われないためのコミュニケーション術について解説していきます。
前田康二朗著『メンターになる人、老害になる人』によれば、老害と指摘されやすい人の話し方には、一定の「くせ」や型(フォーマット)があるとされています。
その典型例が以下の2つです。
- 利己的な決めつけや断定をする
- 「Aは優れているがBは劣っている」という対比で優劣をつけたがる
この2つを組み合わせたような話し方をすると、周囲から「老害的だ」と受け取られてしまうリスクが一気に高まります。
どんなに経験や知識が豊富でも、話し方ひとつで相手に与える印象は大きく変わるということです。メンターを目指す人ほど、日常のコミュニケーションにおいて注意が必要だといえるでしょう。

「そんなつもりで言ったのではない」と後から弁明しても後の祭りです。以下に解説する要点に気を付けながら「老害」に陥らないためのコミュニケーション術を学んでいきましょう。
その①:正しいか、正しくないかで論じない
前田康二朗著『メンターになる人、老害になる人』では、客観的に正誤が証明できるものは指摘しても問題ないと説明しています。たとえば…
- 「計算結果が間違っていた」
- 「禁止事項に触れてしまった」
といったケースは、事実に基づくため指摘してもトラブルにはなりにくいのです。
一方で注意すべきなのは、正解が一つに定まらない話題や、解決方法が複数存在する問題に対して「正しいか/正しくないか」で論じてしまうことです。これは非常に危険で、思わぬ摩擦や誤解を生む原因となります。
社会人になると、同僚や上司、取引先などと話す機会が増えます。その中で交わされる雑談でも、天気やニュースといった一見無難な話題に見えても、話し方次第で相手に不快感を与えてしまうことがあります。
つまり、正誤を断定するのではなく「多様な考え方がある」と受け止める姿勢が、円滑な人間関係を築くために欠かせないポイントなのです。

このフレーズは、人と会話をする時にトラブルを避けるための教えとしてよく使われるんだ「宗教と政治と野球の話はするな」って

こたえがわかる気がする!その人の価値観とか立場が強く出ちゃう話題だからだよね。
※POINT:正しい、正しくないではなく「どっちとも言えない(グレー)」な状態があることも理解する。
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その②:優れているか、優れていないかで論じない
前田康二朗著『メンターになる人、老害になる人』の中では、Amazonをはじめとしたレビューサイトに見られる特徴的な傾向についても触れられています。
辛口な意見の多くは、冒頭にこんな自己紹介から始まることが少なくありません。
- 「私は海外の○○大学に留学していましたが…」
- 「私は上場企業の○○の管理者ですが…」
こうした書き出しには、「私は著者より優れている」というアピールが込められているのです。
著者によれば、これらの発言の裏には「優れた学歴や職歴を持つ自分の意見は、他の人よりも価値がある」という思い込みがあるとのこと。
結果、自分の意見=正しい意見と信じ込み、感情的かつ断定的な暴言がネット上で散見されるようになるのだと指摘されています。
つまり、背景にどれほど立派な経歴があったとしても、相手を見下すような態度や断定的な言葉遣いは、建設的な議論を妨げる要因になりかねません。

これはオンラインのレビューだけじゃなくて、SNSとか普段のコミュニケーションにも当てはまる教訓だよね。
少し、古い記事なのですが、文筆家の古谷経衡氏の記事は考えさせられる内容になっています。
「ネットで差別的な言動を取るネット右翼の正体は、無知文盲の低学歴・低収入の貧困層である」という風説は、未だにちらほらと噴出してくる。これは明白な嘘であると言わなければならない。
例えば2013年に筆者が行った調査(詳細は拙著『ネット右翼の終わり』晶文社などに詳述)によると、ネット右翼の平均年収は約450万円(日本人の平均年収と同程度)、四大卒(中退者を含む)は6割を数え、その平均年齢は38歳強、男女比はおおむね3:1程度、主に東京・神奈川を中心とした首都圏在住者が全体の2/3に迫る。最も多い職業は「自営業者」であり、会社員であっても「管理職」といった他の労働者に対して指導的立場にある者が多かった。
これをみると、ネット右翼とされる人々の社会的位置づけは、底辺というよりも、一言で言えば「大都市部に住むアラフォーの中産階級」である、となる。
差別的発言、排外的発言を開陳するネット右翼は、その言葉遣いだけを見ると無知文盲のごとく観測されるので、ネット右翼の社会的イメージは「低学歴、低収入の貧困層=社会的底辺層」とされがちだが、それは大きな間違いなのである。
引用:「ネット右翼」は日本に何万人いるのかを測る、ひとつの試み(古谷 経衡) | 現代ビジネス | 講談社(一部修正)
一時期、「ネット右翼」のネット上で誹謗中傷などの書き込みが話題になりましたが、批判的な書き込みをする、いわゆる「ネット右翼」は必ずしも「底辺層という社会的位置づけの人たちではない」という論考がなされました。

学歴とか職歴がすごいから自分の意見は優れてるんだって立場で話したがるのって、なんか『老害』っぽいところと共通してるよね。
※POINT:「優れた学歴や職歴を持っている私の意見は優れている」と言われたときは「知らんがな」でスルーする。
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その③:会話の冒頭を「否定」から入ってはいけない
「会話の冒頭を「否定」から入ってはいけない」を具体的に解説をするため、本著から引用したいと思います。
コロナ禍に在宅勤務制度を導入していた会社で社員の方達にアンケートを取ったところ、「在宅勤務下で不快だった出来事」の断トツの一位が、オンライン会議の冒頭で、上司から「ちゃんと仕事してる?」「さぼってたんじゃないの?」とからかわれたことでした。
引用:「メンターになる人、老害になる人」95ページより

上司の立場からするとさ、親しみを込めた軽い冗談のつもりで『君こそ、ちゃんと仕事してるの?』って声かけることもあるんだよね。

多分ね、部下から『上司こそどうなんです?』って軽くツッコんでもらうのを期待して言ってるんだと思うよ。
前田康二朗著『メンターになる人、老害になる人』でも指摘されているように、今の若い世代からするとその一言はまったく違う意味に受け取られます。
彼らにとっては 「いきなり否定された」と感じる行為であり、「なぜ初めから否定されなきゃいけないのか」「意味がわからない」と不快に感じてしまうのです。
ここで思い出したいのが、メンターの特徴として挙げられていた 「同じ目線で、フラット(対等)な立場で対話をしてくれる人」 というポイントです。
メンターを名乗るのであれば、「否定から入る」コミュニケーションは一気に信頼を失い、結果として 「老害認定」されても仕方がないといえるでしょう。
※POINT:自分が気持ち良くなりたいだけのために、他人を下げようとするコミュニケーション作法は老害認定されるので注意。
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まとめ|『メンターになる人、老害になる人』から学ぶこと

ここまで記事をお読みいただき、ありがとうございました。今回は、前田康二朗著『メンターになる人、老害になる人』を取り上げながら、「自分のちょっとした行動や言動が老害にならないように」「良き上司・良き先輩を目指すために」必要な教育論について解説してきました。
本書では、ここで紹介した内容に加えて、より具体的な事例や実践的なアドバイスが数多く紹介されています。人間関係やコミュニケーションの難しさに悩んでいる方にとって、きっとヒントになる一冊です。
もしご興味を持たれた方は、ぜひ書店やオンラインストアで手に取ってみてください。きっと新しい気づきが得られることでしょう。

働き方が多様になってきた今、これから先も長く働いていく中で、後輩だけじゃなくて年上の部下を持つこともあると思うんだよね。だからこそ『老害認定』されないように、コミュニケーションには気をつけながら社会をサバイブしていけたらいいなって思います。

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